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気候変動への取り組み(TCFD提言への対応)
Our Commitment to Climate Change (Response to TCFD Recommendations)

気候変動への取り組み(TCFD提言への対応)

東洋製罐グループは、持続可能な社会の実現に貢献するため、2030年の定量的、定性的な経営目標である「中長期経営目標2030」を設定し、2050年カーボンニュートラルの実現を目指した活動を推進しています。また、2021年7月には「気候関連財務情報開示タスクフォース」(以下、「TCFD」)の提言に賛同を表明しており、本項目ではTCFDの推奨する情報開示フレームワークに沿ったシナリオ分析と戦略、指標と目標について紹介します。

ガバナンスとリスク管理

東洋製罐グループは、グループ全体の環境活動を統括するグループサステナビリティ委員会を設置しており、同委員会はグループリスク・コンプライアンス委員会とともに重要委員会の1つとして位置づけられています。
グループサステナビリティ委員会は、委員長である当社社長および主要グループ会社の社長によって構成され、原則として年1回開催されます。本委員会では、サステナビリティ活動に関する計画策定および進捗状況の確認など、サステナビリティ経営推進に関する事項についての協議を行い、目標・計画に対する進捗管理および社会的・国際的情勢や法規制の動向、外部環境の変化を踏まえた見直し、新規施策の検討を実施しています。
グループサステナビリティ委員会で協議された気候変動に関わる重要な環境リスクについては、グループリスク・コンプライアンス委員会に報告されます。そして、協議された事項に関しては必要に応じて経営執行会議、経営戦略会議に報告され、事業戦略に反映されます。なお、グループサステナビリティ委員会の活動内容は、委員会後遅滞なく取締役会に報告され、監督を受ける体制となっています。
また、2021年度より当社取締役(社外取締役を除く)を対象とする業績連動型株式報酬制度を導入しました。株式報酬額の算出基準の一部に、サステナビリティ活動目標の進捗をはじめとしたESG活動の取り組み状況等を総合的に勘案して決定するサステナブル指標を用いており、気候変動を含むサステナビリティへの対応をさらに強化していきます。

  • 枠内の図は左右にスクロールできます
東洋製罐グループホールディングス

戦略

気候変動シナリオの選択

IEA(国際エネルギー機関)が公表している気候変動シナリオを参照し、1.5℃および2℃、4℃の各シナリオを選択しました。気候変動の影響は中長期の期間をかけて顕在化する性質のものであるとの認識により、2030年を時間軸として気候変動の影響を分析しています。

出所:IPCC第5次評価報告書より作成

■ 4℃シナリオ(RCP8.5相当)
現状を上回る温暖化対策をとらなければ、今世紀末までに産業革命時期比で3.2℃~5.4℃上昇

■ 1.5~2℃シナリオ(RCP1.9~2.6相当)
厳しい対策をとれば、今世紀末までに産業革命時期比で0.9℃~2.3℃上昇

シナリオ分析のプロセス

重要
リスク・
機会の
特定
  • 当社事業におけるリスクと機会の情報を収集
  • 政策や市場などの観点から、自社で発生し得る移行・物理リスクと機会を特定
  • 特定したリスクと機会が自社事業に与える影響を考察し、特に大きな影響を与えうる重要リスク・機会を絞り込み
将来予測
データの
収集
  • 重要リスク・機会に関する信頼度の高い外部の将来予測データを収集
  • 将来予測データをシナリオごとに整理し、将来起こりうる世界観について社内関係者と検討
事業影響の
試算
  • 収集した将来予測データと自社内の数値を用い、重要度の高いリスクと機会によってもたらされる事業インパクトをシナリオごとに定量評価
対応策の
検討
  • 事業影響の特に大きい気候変動リスク・機会への対応方法を検討
  • 必要に応じ、追加取り組みの推進体制を整備

シナリオ分析結果

東洋製罐グループが日本において事業展開している、包装容器事業・鋼板関連事業・機能材料関連事業について、主な気候変動リスク・機会を外部情報に基づいて整理し、それぞれのリスク・機会に関する将来予測データを収集しました。これに基づき、脱炭素社会への移行にともなうリスク・機会と気候変動に起因する物理的 リスク・機会を検討し、当社グループ事業に2030年までに影響を与えうる重要なリスクと機会を特定しています。
分析の結果、気候変動政策が導入される1.5℃および2℃シナリオにおいて、温室効果ガス(以下、「GHG(Green House Gas)」)排出への炭素税賦課により操業コストが上昇するリスクなどを特定しました。
一方で、「Eco Action Plan 2030」で設定したGHG排出量削減などの目標を達成することで、気候変動の影響を一定程度軽減できることも確認しました。また、気候変動にともなう機会として、鋼板関連事業領域におけるEV・PHEV用途の電池部材に関する需要増加が大きく貢献する可能性があることを確認しました。
当社は、気候変動のリスク低減と機会拡大を積極的に経営判断に取り込むための対応策として、2022年度よりインターナルカーボンプライシング制度(ICP)を導入しました。設備投資にともなうCO2排出量に対して社内炭素価格を基に費用換算し、当社グループが投資判断を行う際の参考にするなど、気候変動への対応を意識した事業運営の強化に取り組んでいきます。
今後は、シナリオ分析の対象範囲を拡大し、海外も含めたエンジニアリング事業等の影響評価を行うことで、グループの全事業領域に関するシナリオ分析を完了する予定です。

シナリオ分析結果一覧

移行リスク・機会

  • 枠内の図は左右にスクロールできます
重要なリスク・機会の項目 時間軸 リスク・機会の説明 評価した財務影響 各シナリオに
おける財務影響
現状および今後の対応
4℃ 1.5-2℃
炭素価格、
各国の
炭素排出
目標・政策
炭素税負担

中期

化石燃料由来のCO2排出に対して炭素税が課される

GHG排出への炭素税賦課による操業コストの増加※1

→ ↓
  • 2030年までに事業活動のGHG排出量を50%削減※2
→
電力単価の変動

短期

系統電力の再エネシフトにともない再エネ賦課金が高騰

電力単価の変動による操業コストの増減

→ ↘
  • 太陽光発電システムの導入
  • ICPによる省エネ投資加速
→
新たな
規制の導入
プラスチック税に
よる販売単価減

中期

バージンプラスチックを使用した包装容器に対して、プラスチック税が課される

プラスチック税の賦課分を単価から差し引いた場合の売上の減少

  →
  • 全包装容器製品をリサイクル・リユース可能に転換※2
  • 再生材使用比率の向上
 
再生プラスチック
の使用義務化への
対応

中期

飲料ボトルの原材料における再生プラスチックの最低含有割合が設定される

原材料における再生プラスチックの含有割合を引き上げる場合のコストの増加

  ↘
  • 2030年までにプラスチック製品について化石資源の使用量を40%削減※2
↘
森林伐採税に
よる原紙価格
の上昇

中期

原紙調達先への森林伐採税の賦課により原紙価格が上昇

森林伐採税の賦課による原紙調達コストの増加

  →
  • リサイクルが容易な環境配慮型紙コップ原紙を使用
 
原材料価格
の変動
原油価格変動に
よる石化原料価格
の上昇

短期

原油需給・価格の変化にともない石化原料価格が変動

原油および石化原料の価格変化にともなうコストの変動

↓ ↗
  • 化石資源の使用量削減※2
  • ケミカルリサイクルの実装
 
炭素税による
原材料価格の
上昇

中期

石油および原料炭、精錬、原紙、ガラス由来のCO2への課税により原材料価格が上昇

炭素税引き上げによる石化原料および鋼材、アルミニウム、原紙、ガラスの調達コストの増加※1

→ ↘
  • 化石資源の使用量削減※2
  • バイオマス材料の活用
  • 低炭素化により製造されたスチールおよびアルミの使用
  • リサイクルが容易なガラスびん、環境配慮型紙コップ原紙の使用
→
消費者行動の
変化
環境配慮型製品
の需要増加

中期

消費者嗜好の変化により環境配慮型製品の競争力が高まる

環境意識の高まりにともなう環境配慮型製品の売上の増加

  ↘
  • 環境配慮型製品のラインナップ 拡充と拡販
  • 成長率の高い環境配慮型製品への投資加速
→
低炭素・次世代
技術の普及
EV・PHEV普及
による電池部材の
需要増加

中期

EV・PHEVの燃料電池に使用される部材の需要が増加

EV・PHEVの普及にともなう電池部材の売上の増加

→ ↘
  • EV・PHEVの燃料電池に使用される部材への投資加速と増産体制の構築
→ →
  • ※11.5℃シナリオにおける財務影響額を記載
  • ※2Eco Action Plan 2030における各種目標

物理的リスク

  • 枠内の図は左右にスクロールできます
重要なリスク・機会の項目 時間軸 リスク・機会の説明 評価した財務影響 各シナリオに
おける財務影響
現状および今後の対応
4℃ 1.5-2℃
平均気温の
上昇
農産物原料の
収量増減による
売上変動

長期

平均気温の上昇にともない、農産物原料の収量が増減する一方で、酒類・清涼飲料需要は増加

大麦・茶葉・コーヒー豆・上等米等の収量およびビール・お茶類の需要増加にともなう容器売上の変動

→ →
  • 農産物原料の収量増減の影響は軽微
  • 将来的なリスク要因
 
夏季における
空調電気代の
増加

中期

気温上昇により夏季における空調負荷が上昇

気温上昇による空調電力使用量および操業コストの増加

↘ ↘
  • 太陽光パネルの屋上設置
  • 省エネ・ヒートポンプの活用
→
森林火災による
原紙価格の
上昇

長期

森林火災の増加により紙パルプの供給が減少する

森林火災にともなう原紙調達コストの増加

↘ ↘
  • リサイクルが容易な環境配慮型紙コップ原紙を使用
 
殺虫剤の
需要変化

長期

夏場の平均気温上昇により殺虫剤の需要が増加する

殺虫剤の需要増加にともなうエアゾール缶の売上の増加

↘ ↘
  • 殺虫剤の充填事業の対応力を引き続き強化
 
異常気象の
激甚化
被災にともなう
物損・逸失利益

短期

拠点の被災により製品生産の遅延・製品供給の停止が発生

被災による物損コストおよび逸失利益の発生

↘ ↘
  • 被災リスクの経年見直し
  • BCPの策定と訓練の実施
→
保険料の増加

短期

拠点の被災リスクが高まることにより保険料が上昇

洪水・台風の増加にともなう保険コストの増加

→ →
  • 保険契約内容の見直しによる費用対効果の改善
 
財務影響+100億円以上:
↑
財務影響+100億円未満:
↗
財務影響±10億円未満:
→
財務影響▲100億円未満:
↘
財務影響▲100億円以上:
↓

指標と目標

東洋製罐グループは、2050年長期目標として、CO2排出量を大幅に削減し、カーボンニュートラルの実現を目指しています。そのため、「Eco Action Plan 2030」において、2030年でのCO2排出量の削減目標を右記のとおり定めています。これらの目標は、国際的なイニシアチブであるSBT(Science Based Targets)の新基準「1.5℃目標」の認定を取得しています。

事業活動でのCO2排出量(Scope1、2)50%削減 2019年度比、サプライチェーンでのCO2排出量(Scope3)30%削減 2019年度比

事業活動でのCO2排出量の推移(Scope1、2)(1)(2)(3)

  • 枠内の図は左右にスクロールできます
  • (1)2021年11月に削減目標を上方修正しました(2019年度比-50% 従来目標は、2019年度比-35%)
  • (2)2022年7月公開データから、集計範囲を「ホールディングスと連結子会社」に変更したために、昨年度までの公開データとは異なります
    (以前は、持分法適用関連会社の一部が含まれていました)
  • (3)一部の海外会社の集計が重複しておりましたので、修正しました

サプライチェーンでのGHG排出量(2021年度)

  • 枠内の図は左右にスクロールできます
  • (1)2019年度以降集計範囲を国内のみから海外も含めた「ホールディングスと連結子会社」に変更したために、過去の公開データとは異なります

今後の施策

今回実施したシナリオ分析を踏まえ、2022年度は他事業への分析範囲拡大、2023年度は全事業を範囲とすることを予定しています。

  • 枠内の図は左右にスクロールできます

FY2021

TCFD対応(レベル1)
  • TCFDシナリオ分析の実施
    (プラスチック製品・金属製品におけるP/Lへのインパクト評価)
  • TCFDシナリオ分析に関する開示の検討

FY2022

TCFD対応(レベル2)

プラスチック・金属以外に関する
シナリオ分析を実施

  • ガラス・紙
  • 鋼板
  • 機能材料

FY2023

TCFD対応(レベル3)

全事業に関するシナリオ分析を実施

  • 充填・エンジニアリング・物流
  • 海外
TNFD対応

生物多様性における特定のリスク・
機会に関して、情報収集を実施

  • 自然資本
  • 水リスク

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