パウチは「小袋(ポーチ)」という意味で、レトルト食品のほか、洗剤やシャンプー、リンスの詰め替え容器として使われている。1950年ごろにアメリカで開発されたパウチは、日本で大きく変化したんだ。そこで今回は、みんなが知らない歴史も含めて、パウチのことを紹介するね。
パウチはもともと、加熱調理された食品を長期間保存する、缶詰に代わる容器として軍事用に開発されたんだ。そして1969年に打ち上げられた宇宙船アポロ11号では、牛肉やポトフなどを入れる容器としてパウチが使われたことで知られるようになった。でも実は家庭用のレトルト食品を世界で初めて商品化したのは日本なんだよ。1968年に大塚食品工業が、レトルトパウチに入ったカレーを販売。今ではたくさんのレトルト食品が販売されているんだ。
軽量化を目的に開発されたパウチは、より便利に進化していったんだ。1980年代後半には、袋の底にヒダをつけて自立できる「スタンディングパウチ」が登場。1990年代には注ぎ口をつけてさらにこの部分をレーザー加工し、手で開けられるようになった。これにより、洗剤用の詰め替え容器として、日本中に広まっていったんだ。現在では洗剤用製品等の約80%が、詰め替えパウチになっているんだよ。
パウチは一枚のフィルムからできているように見えるけど、実は何枚ものフィルムが重なっているんだ。複数のフィルムの組み合わせが、目に見えない空気中の細菌や酸素、水分などから守ってくれて、中身をより長持ちさせているんだよ。
酸素は中身を劣化させる原因の一つ。それを解消するのがこのパウチなんだ。バリア層と酸素吸収量を、プラスチックフィルムで挟んだフィルムを使っている。バリア層が外部からの酸素を遮り、酸素吸収量が内部に残った酸素を吸収するんだよ。
このパウチは、容器の中のわずかな水分をパウチの吸湿層が吸収することで、湿気を嫌う中身を長持ちさせてくれるんだ。パウチに使われているフィルムは、バリア層、吸湿層をプラスチックフィルムで挟んでいる。外から入ろうとする水分をバリア層でさえぎり、中身に残った水分は吸湿層が吸収してくれるんだよ。パウチの中に乾燥剤を入れなく
ていいので、誤飲の防止にもなるんだって。
洗剤用の詰め替えパウチには、注ぎ口が立体になっているタイプがある。立体にすることで、ボトルに詰め替えるときに液体が注ぎやすくなるんだ。また、上からはハサミを使わずに開けられるのに下からは開けられない、一定の方向からしか切れないような工夫がされている。これで、運んでいるときに誤って開いて中身がもれる事故を防止できるんだよ。