1810年にイギリスでブリキ缶が発明され、それまでびん詰だった食べものは缶詰にされるようになったけど飲 み物はガラスびんに詰められたものが多かった。今のように缶に入った飲み物 を簡単に飲めるようになるまでには、長い時間がかかったんだよ。飲料缶が広 まるきっかけにもなった、缶のふたの歴史について紹介するね。
日本で初めて缶飲料として発売されたのは、オレンジジュースだった。でもその時 の缶飲料は缶切りで開けなければ飲めなかったので、あまり広まらなかったんだ。当時 の缶飲料を飲むためには、缶に2つの穴を開けなければならなかった。これは一つの穴から飲み物が出る代わりに、もう一つの穴から空気が缶の中に入ることで、飲み物を出やすくするためなんだ。でも特別な穴あけ器具は使うのが難しく、上手に開けられずに飲み物が噴き出すことも多かった。
開缶時の失敗を減らすため、1963年にアメリカでアルミ製のイージーオープンふたの技術 が開発され、缶切り等の道具を用いずに缶を開 けられるようになった。日本では1965年にプルトップ式のふたを採用した飲料缶が登場し、口をつける部分が簡単に切り離せるようになったので、いろいろな飲 み物のふたに使われるようになったんだよ。
リング型のタブを手で引っ張り、スコアから切り外して開缶する。プルタブは缶から切り離す。
タブを起こすと、スコア部分の金属が押し込まれて開缶する。プルタブは本 体に残ったまま切り離されない。
プルトップ式のふたの登場で缶に入った飲み物が飲みやすくなったけど、缶から切り離されたプルタブをそのまま捨てる人が多く、砂浜でふんで足 をけがする人や、鳥がエサと間違えて飲み込んでしまうことが問題になったんだ。それを改善するために、缶を開けても離れることがないステイオンタブのふたが1974年アメリカで誕生した。1989年 に日本初のステイオンタブ式の缶飲料が登場し、消費者 の支持を受けて一気に普及し、わずか数年で飲料用のほとんどの缶に使用されるようになったんだって。2004年にはボトル型飲料缶が登場し、再栓(飲んでる途中で、またふたができる)ができてより便利になったんだよ。
缶詰は飲み物だけでなく、食べものでも使われているよね。多くの缶詰 のふたは、リングを引っ張れば缶切りなしで開けることができて便利だけど、フタを切り離 したあと、缶のふちやふたのふちに指などが触れるとけがをすることがあった。料理用のソースの缶詰などには、ふたを切り離した時にけがをしないようにダブルセーフティーふたが使われているんだ。切 り取った缶とふたの両方の切り口を隠すように折り曲 げ加工し、指などを切らないように工夫した、ユニバーサルデザインのふたです。安全に使 えるようにふたも進化しているんだね。