財務担当役員メッセージ

副島 正和

取締役専務執行役員
経営戦略機能統轄
兼 経理・財務管掌および
IR・グループ調達戦略担当

2022年度・2023年度の業績

2022年度の決算は、売上高は前期比844億円増の9,060億円となりましたが、営業利益は73億円の大幅な減益となりました。増収要因としては、国内包装容器事業の売価転嫁や車載用二次電池用部材の好調、Stolle Machinery Company, LLC(以下Stolle 社)の好業績が挙げられます。一方、減益要因は国内事業によるもので、原材料・エネルギー価格の高騰によるコストアップが主な要因です。

2023年度の業績予想では、売上高9,470億円、営業利益300億円、経常利益325億円を見込んでいます。増収要因としては、売価転嫁の進展や鋼板関連事業の成長によるものです。営業利益増の見込みは、原材料・エネルギー価格の高騰の影響が限定的であることや売価転嫁の進展によるものです。
当社の業績は2022年度に大幅な減益となり、2023年度も本格的な回復はまだ見通せていません。これに対し、「資本収益性向上に向けた取り組み2027」を発表し、ROEを8%以上、営業利益を650億円に高める目標を掲げました。

 ※2024年2月7日公表値

「資本収益性向上に向けた取り組み2027」の成長戦略

「成長戦略」の柱は、事業ポートフォリオの最適化です。包装容器事業に重点的に投資してきた経営資源を、成長分野であるエンジニアリング・充填・物流事業、鋼板関連事業、機能材料関連事業に振り向けて拡大を加速させます。鋼板関連事業の車載用二次電池用部材や機能材料関連事業のバリアフィルムの開発など、有力な事業が見えてきました。また、充填事業や包装容器事業では東南アジアを中心に市場拡大の可能性が高いため、M&Aを活用して成長を実現したいと考えています。

国内包装容器事業については、今後も当社グループの基盤を支える重要な事業です。収益性の向上に取り組むと同時に、不採算事業領域の再構築や人件費の上昇にも対応し、体質の強化を進めます。

「資本収益性向上に向けた取り組み2027」の資本・財務戦略

「資本・財務戦略」の柱としたのは「資産効率向上」です。これを達成するため、配当や自己株式取得による株主還元を大幅に強化します。政策保有株式の縮減や不採算事業領域の資産圧縮と不動産の売却および価値向上も進めます。

「資本収益性向上に向けた取り組み2027」のキャッシュアロケーション

キャッシュアロケーションでは、営業キャッシュフローや資産売却・資金調達を原資とし、投資・株主還元に戦略的に配分します。営業キャッシュフローは約3,700億円を想定し、収益改善や成長分野の貢献が主な要因です。資産売却や資金調達による約800億円を加えたキャッシュインと、成長分野や既存事業の投資に約2,700億円、株主還元に約1,800億円を振り向ける計画です。

キャッシュアロケーション

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  • 2026~2027年度の配当については2025年度水準を延長した試算としておりますが、実際の利益に合わせて配当方針を勘案のうえ決定いたします。
  • 現中期経営計画期間は約600億円を計画しています。2026~2027年度は約400億円を見込んでおりますが、次期中期経営計画における還元方針等を勘案のうえ決定いたします。

今後に向けて

近年益々重要になっているステークホルダーとのコミュニケーションについては、株主・投資家の方々はもちろん、従業員やお客さま、サプライヤーなどへ、我々が今抱えている課題を含め、相手の声にしっかりと耳を傾けるとともに、適切な情報を適時に発信することが大切だと考えています。 その一環として、株主・投資家との対話の機会を増やしていますが、社外の方々から幅広いご意見・ご指摘を頂戴することは経営改善の大きな参考になるため、対話の重要性を感じております。

最後になりますが、当社グループの企業価値向上に資する「資本収益性向上に向けた取り組み2027」を確実に実現するよう経理・財務担当役員として今後も努めてまいります。