自然共生社会へ向けて

2030年目標と2022年度実績

「Eco Action Plan 2030」に基づいた、2022年度のグループ全体での目標進捗状況は以下のとおりです。

評価指標:★★★目標を達成できた ★★目標に対してわずかに未達成 取り組みが不十分

※表は左右にスクロールできます

環境ビジョン 2022年度実績 評価
「Eco Action Plan 2030」目標

【自然共生社会】

  • 環境リスク・環境汚染物質の低減
    • PRTR法に関する物質の排出・移動量を2022年度までに15%削減(2013年度比)
  • PRTR法対象化学物質の排出・移動量は、基準年2013年度比16.9%削減となり、目標を達成できました。EcoAction Plan 2030の目標項目から外れますが、引き続き対象化学物質の排出・移動量削減に努めます。

1

★★★

  • 生物多様性の保全を推進
    • 事業活動での水使用量を30%削減(2013年度比)(2022年度までの目標)
  • 水使用量(取水量)は、基準年2013年度比2.7%削減となりましたが、目標は達成できませんでした。2023年度以降は、施策の実効性の評価をしやすい原単位目標に切り替え、活動を進めていきます。

2

  • 外部コミュニケーション活動の推進
    • 海洋プラスチック問題解決に向けた対応(散乱防止)と情報公開
  • 事業所からの樹脂ペレット漏出防止徹底のためのグループ共通のガイドラインを策定し、国内および海外の事業所に適用し推進しています。

3

★★★

  • 枯渇性資源:自然のプロセスにより、人間などの利用速度以上には補給されない天然資源
  • 化石資源:石油・天然ガスなど

活動実績

海洋プラスチックごみ問題に対する取り組み

クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンスを通じた活動

地球規模の新たな課題である海洋プラスチックごみ問題。その解決に向け、プラスチック製品のより持続可能な使用や代替素材の開発、導入を推進し、官民連携でイノベーションを加速する必要があります。そのような背景から、サプライチェーンを構成する幅広い事業者で構成される「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)」が2019年1月に設立されました。参加企業は2023年4月時点で486社・団体にのぼり、サプライチェーンの中の幅広い業種の企業が参加しています。東洋製罐グループホールディングスは幹事会社として設立準備段階から参加し、業種を越えた関係者との情報共有や連携促進を担う普及促進部会の主要メンバーとして活動しています。
また東洋製罐グループは、2020年に新たに策定されたアクションプランを実行する5つのワーキンググループ活動全てに参画し、そこで行われる実証試験の計画づくりなどの作業に参加しています。CLOMAでのこれらの活動を通じて、東洋製罐グループはこれからも海洋プラスチックごみ問題の解決に貢献していきます。

Japan Clean Ocean Material Alliance(CLOMA)

樹脂ペレット漏出防止対策の徹底

プラスチック製品の原料である樹脂ペレット(数mmの大きさ)が工場敷地外へ漏出すると、海洋プラスチックごみとなってしまいます。以前より、路面にこぼれた樹脂ペレットが工場敷地外へ漏出しないよう、雨水溝に金網を設置するなどの対策は実施してきましたが、2019年に漏出ゼロを目指した管理徹底のため、「東洋製罐グループ樹脂ペレット漏出防止ガイドライン」を策定しました。「漏出可能性のある場所の特定および防止策の検討・実施」「日常管理」「監査」など、各社の環境マネジメントシステムの中で運用しています。

ペレット捕集用スクリーン設置例(雨水枡)

設備のリスク管理

東洋製罐グループでは、工場からの油の流出、排水処理の不具合などによる異常排水の流出など、公共用水域(河川や海など)や地下水の水質に悪影響を及ぼしうる事故を未然に防止することを目的として、各社の環境マネジメントシステムに従いリスク管理に努めています。特に環境事故の発生リスクの高い設備は、2021年度に制定した「東洋製罐グループ設備の環境リスク管理ガイドライン」をもとに、設備の配管、槽類、バルブなどの劣化や損傷などを定期的に管理しています。今後も継続的に各社の環境マネジメントシステムに基づいてPDCAを回すことで改善を図っていきます。

ダムの外来魚調査に使える環境DNA チップを開発

東洋鋼鈑が医療分野において開発したDNAチップ遺伝子解析システムが、山口大学、日本工営株式会社との共同研究により、環境分野に応用できることがわかりました。
従来、ダム貯水池に生息している外来魚の実態調査は、調査員がダムに潜ったり、網で捕獲していたりしたため、コストや手間がかかっていました。今回開発した環境DNAチップを用いてダム貯水池の水1Lを採取し分析を行うと、どのような外来魚がいるのかを簡単に判別することができます。外来種とは、本来その地域に生息していない生物種の総称であり、その侵入によって生態系は深刻なダメージを受けていることが知られています。
ダム貯水池の水には、外来魚のフンや鱗に含まれるごくわずかなDNAが存在しており、この環境DNAチップは、そのような微量なDNAも捉えることができます。
この研究成果は2022年6月に国際学術誌「Landscapeand Ecological Engineering」に掲載されました。
東洋鋼鈑は今後も医療用のDNAチップを拡大していきますが、このようなダム貯水池や河川の環境保全といった、SDGsにつながる環境分野にも貢献していきます。

従来の方法 調査員が潜って調査 コスト・手間がかかる 今回開発した方法 1Lの水からDNAチップで分析 低コストで迅速!

ブルーカーボン・ネットワークへの参画

SDGsのゴール「13.気候変動に具体的な対策を」と「14.海の豊かさを守ろう」の観点から「ブルーカーボン」が近年注目されています。陸上の植物と同じように、海草や海藻は生長する際に二酸化炭素を吸収します。こうした海洋の生態系によって貯蔵される炭素は「ブルーカーボン」と呼ばれています。
東洋ガラスは、緩水溶性ガラス※の技術を保有しており、ガラスに溶け込ませた有効成分がゆっくりと水に溶け出す特性を利用し、藻場の再生などブルーカーボン生態系の促進に貢献しています。
このたび東洋製罐グループホールディングスは、NPO法人ブルーカーボン・ネットワークの賛助サポーターとなり、国内外のブルーカーボンや藻場再生の取り組みに関する情報共有および支援や、気候変動、海の生態系などに関する情報共有を行っています。
2022年10月には熱海で開催されたブルーカーボン・ネットワークのセミナーと現地見学会に参加し、2023年2月にはブルーカーボンに関する新たなアプローチなどに関する意見交換を行いました。
今後も、ブルーカーボンに関する多様な研究機関や団体、企業などと協働し、海洋の生物多様性保全や気候変動対策に取り組んでいきます。

※緩水溶性ガラスについてはこちらをご覧ください。

美化活動をごみ拾いアプリ
「ピリカ」で発信

東洋製罐グループでは、ごみ拾いアプリ「ピリカ※ 」を活用して、各社で行っている美化活動の様子を公開しています。2022年度の取り組み結果は、参加者509名、拾ったごみの量9,536L で、グループ内での最多参加人数は東洋製罐基山工場の122名でした。
今後も地域や関係先と連携しながら、グループでの美化活動に取り組んでいきます。

日本ナショナル製罐

琉球製罐

Environmental(環境)