当社、東洋製罐(株)、Stolle Machinery Company, LLC等による「包装領域を基盤としたエンジニアリング・充填・物流領域におけるバリューチェーンの拡大」を目指す施策の一つとして、American CanningへaTULCコンパクト製缶システムの導入が決定し、2023年1月に本格稼働が開始されました。
American Canningは、全米50州、約5,500社の飲料ブランドに缶などの包装資材や充填機設備・サービスを販売しています。
このプロジェクトにおいて、当社グループはAmerican Canningに製缶設備販売と保守、技術支援を実施し、①設備販売とエンジニアリングおよびパーツ販売、②製缶材料販売、③製缶技術に関するライセンスの3つで収益化を図ります。
この取り組みにより、American Canningとともに新技術の具現化と新たなビジネスモデルの共創を実現し、エンジニアリング事業領域の持続的成長につなげていきます。また、缶供給の逼迫という社会課題の解決とともに、当社ならではの環境に優しいアルミ缶の製缶技術やエンジニアリング技術を広げることで、持続可能な社会の実現に貢献します。
American Canningはクラフトブルワーへの飲料缶資材・充填設備販売事業を営んでいます。小規模なクラフトブルワーや飲料メーカーが繁栄できるような「より現代的なエコシステム」を構築するという構想を持ち、そのための独自の缶供給スキームを創出するために、2020年秋から当社グループとプロジェクトを開始しました。2022年6月、American CanningからCEO、COOを含む4名が来日、工場見学や技術会議、米国でのプロモーション計画など、プロジェクトの実現に向け5日間に及び協議しました。
American Canningは、2021年12月に新工場設立の発表以降、展示会やメディアを通じて積極的なaTULC技術プロモーションを行っています。2022年5月には、全米クラフトビール展に参加し、東洋製罐(株)とともに商談、aTULCプロモーション缶を来場者に1,000缶無料配布しました。2023年1月の本格稼働に至るまで、全米50州の顧客に向けてプロモーション活動を展開しました。
Mr. David Racino CEO, Co-Founder American Canning LLC
Mr. Mike Daniel COO, Co-Founder American Canning LLC
2020年半ば、American Canningの印刷技術者兼デザイナーが「優れた加飾性の缶がある」とE. & J. Gallo Wineryのダークホースワインを買ってきました。その缶は東洋製罐のaTULCで、早速Webを通じてアプローチを開始しました。
2020年秋から2年にわたり商談を重ねました。aTULCコンパクト製缶システムの導入という決断を後押ししたのは、東洋製罐には、我々がワールド・クラスの缶メーカーへ成長するための十分なサポート能力と意欲があるということです。さらに、aTULC製造プロセスの「環境および持続可能性」の側面も、米国の消費者にとって非常に重要なことと考えています。aTULCは、地球上で最高のアルミニウム飲料缶です。私たちのお客さまであるクラフトブルワーやワイナリー、蒸留所などが生みだす良質な製品がaTULCに充填されることで、それらの製品へのアクセシビリティは格段に向上するでしょう。
西野 聡
東洋製罐ホールディングス株式会社
常務執行役員 グループ顧客ソリューション機能統轄
東洋製罐株式会社
取締役 専務執行役員 営業機能統轄 兼 営業改革担当
PETボトルは容器製造の初期投資が従来の金属缶と比較して低く、製造工程も簡素でオペレーションが容易であるため、容器製造が飲料の充填場で行われる地産地消の垂直統合が進みました。
金属缶においては、サステナブルなアルミを素材とするaTULCコンパクト製缶システムが、ドライフォーミング技術により初期投資の低減と簡易な製造工程を実現し、空缶需要地ごとに最適サイズのラインを導入する地産地消モデルを実現しました。aTULCコンパクト製缶システムの展開により、ロケーションごとに小さなラインを導入する地産地消モデルを実現、循環型社会への貢献と、製造時や輸送時にかかるCO2の削減につなげることが期待できます。