水を使用しないほうろう施釉※用パウダー●水による成分の変質がないため釉薬の寿命が延びる●水使用量ゼロで施釉後の乾燥工程や排水処理が不要●施釉効率が高く回収粉体はリサイクル可能※ ほうろう施釉:ほうろうを作るために、鉄板にガラス質の被膜を形成する釉薬(ゆうやく)を塗布すること
静電施釉用粉体は水を使用していません。従来の釉薬(湿式釉薬)は水が配合されており、油分が付着した鋼板は事前の脱脂処理が必要ですが、水不使用の静電施釉用粉体は脱脂処理を省略できます。このため、脱脂処理や湿式スプレー施釉にともなう排水処理も省略することができます。また、施釉後の乾燥工程も不要のため、工数削減やエネルギー削減に貢献できます。
従来の湿式スプレーによる施釉方法と比較して、静電施釉は付着効率が高く、乾式静電スプレー後の回収粉体も容易にリサイクルできるため、釉薬使用量を削減できます。
TOMATEC株式会社海外事業部大西秀和
水が配合されている従来の釉薬(湿式釉薬)は排水処理が必要ですが、海外では排水対応が難しく、水を使用していない静電施釉用粉体を採用する会社が多いです。本製品はTOMATEC株式会社の子会社である「多瑪得(厦門)精細化工有限公司」の工場設立をきっかけに、海外向け製品として本格的な開発を始めました。
多瑪得(厦門)精細化工有限公司のメンバー
静電施釉用粉体は、鉄板への付着力・付着速度・耐湿性などの面で、さまざまな特性をもちます。どのような環境でも安定した品質を保てるよう、厦門の工場にある実験室でのテストはもちろんのこと、お客様先でのテストを繰り返しながらそれぞれのご要望に合った製品の開発に努めました。また、開発中に一部原料費用が高騰してしまった際には、品質はそのままに原料の配合を変えるなどしてコストを抑え、お客様のご要望にお応えしてきました。
主に、中国・東南アジアのバーベキューグリルメーカーやオーブンレンジ・電子レンジなどの家電メーカー、火力発電所の熱交換器用部品メーカーなどにご利用いただいています。静電施釉用粉体の競合他社はトルコやアメリカが中心で、アジア圏のお客様にとって遠方ということもあり、当社はトラブル対応などの技術サービスがスピーディであることを特に評価いただいています。
表面光沢の改良や、バーベキューグリル、火力発電所の熱交換器用部品以外の用途にも対応できるよう、他品目への対応に向けた開発を進める予定です。本製品は、水を使用せず、乾燥時のエネルギー削減や施釉の自動化にも貢献できますので、応用できる製品群を増やすことでさらなる拡販を目指します。