箱型で自立する大容量パウチ●樹脂の使用量を削減●大容量でも省スペースで物流効率向上に貢献
大容量容器としてよく使用されるハンドルボトルと比較して、本製品は樹脂使用量を大幅に削減することができます。
容量の大きなパウチは、中身の水圧により胴部が膨らみ、自立性が損なわれてしまいます。しかし、本製品はパウチ内部の中央部に配置されたフィルムが水圧を受けることで、膨らみを抑制し、形状をしっかりと保持します。この独自の設計により、高い自立性を実現しました。
従来のスタンディングパウチは、輸送時に空間が上部にできてしまいますが、本製品は箱型形状を採用することで、デッドスペースを抑制でき、輸送効率を向上させます。液充填前の空袋はたたんで輸送でき、廃棄時にもたたむことでかさばりません。
東洋製罐株式会社テクニカルセンター 設備技術開発部田中宏樹(左)テクニカルセンター プラスチック技術開発部 勝田翔大郎(右)
田中:洗剤市場を中心に、大容量スタンディングパウチの需要が高まってきました。一般的にスタンディングパウチは容量が増加するほどサイズが大きくなり、収納性が低下します。当社製造のスタンディングパウチは一般的な形状が中心だったこともあり、大容量化への需要の高まりに合わせて、新たな大容量パウチの開発に着手することとなりました。
一般的なスタンディングパウチ
田中:社内モニター調査やお客さまへの提案活動を通じて、パウチに関する多様なニーズがあることを知ることができました。ニーズが多様である分、どのニーズに対応した製品にするのかといった、製品コンセプトの絞り込みに苦労しました。フィードバックをもとに構想段階での形状から改良を重ね、大容量でありながら収納性と使いやすさに優れたパウチにコンセプトを絞って開発を進めました。
勝田:今までにない形状で大容量のパウチということもあり、落下耐性の向上に取り組む必要がありました。工夫した点の一つはシール形状です。落としたときにパウチに伝わる衝撃を分散するように設計しています。パウチが割れないように衝撃を和らげる形状の開発に多くの時間を費やしました。
田中:プラスチックボトルからの置き換えとしてご採用いただいたお客さまには、シワなく自立するうえ、従来品のプラスチックボトルと比較して、樹脂使用量を約7割削減できた点を評価いただきました。廃棄時にはたたんでコンパクトに処理できる点も好評です。
勝田:現在は非食品分野で導入いただいておりますが、ワイン・食用油といった飲料・食品分野への導入も目指しています。今後もユーザーや市場の声に耳を傾けながら、さらなる改良や新たな価値創出にチャレンジしていきます。
安定性があり、流通や使用の際にも安心して使える点に加え、従来のボトルと比較して樹脂を大きく削減できる点も評価できます。さまざまな用途への展開が期待できるのではないでしょうか。現在、世界全体で樹脂がなかなか減らず地球環境への脅威が続いていることを考えると、樹脂のさらなる使用量の削減、あるいは廃棄を検討する取り組みを段階的に実践していく必要性もあるように考えます。
大容量化を受けての開発、ガセットによる自立性確保など、いろいろな工夫をされていることがわかります。これからのさらなる開発に期待しています。