自然共生社会へ向けて

東洋製罐グループの取り組み

海洋プラスチックごみ問題に対する取り組み

クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンスを通じた活動

地球規模の新たな課題である海洋プラスチックごみ問題。その解決に向け、プラスチック製品のより持続可能な使用や代替素材の開発、導入を推進し、官民連携でイノベーションを加速する必要があります。そのような背景から、サプライチェーンを構成する幅広い事業者で構成される「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)」が2019年1月に設立されました。参加企業は2023年4月時点で486社・団体にのぼり、サプライチェーンの中の幅広い業種の企業が参加しています。東洋製罐グループホールディングスは幹事会社として設立準備段階から参加し、業種を越えた関係者との情報共有や連携促進を担う普及促進部会の主要メンバーとして活動しています。
また東洋製罐グループは、2020年に新たに策定されたアクションプランを実行する5つのワーキンググループ活動全てに参画し、そこで行われる実証試験の計画づくりなどの作業に参加しています。CLOMAでのこれらの活動を通じて、東洋製罐グループはこれからも海洋プラスチックごみ問題の解決に貢献していきます。

Japan Clean Ocean Material Alliance(CLOMA)

樹脂ペレット漏出防止対策の徹底

プラスチック製品の原料である樹脂ペレット(数mmの大きさ)が工場敷地外へ漏出すると、海洋プラスチックごみとなってしまいます。以前より、路面にこぼれた樹脂ペレットが工場敷地外へ漏出しないよう、雨水溝に金網を設置するなどの対策は実施してきましたが、2019年に漏出ゼロを目指した管理徹底のため、「東洋製罐グループ樹脂ペレット漏出防止ガイドライン」を策定しました。「漏出可能性のある場所の特定および防止策の検討・実施」「日常管理」「監査」など、各社の環境マネジメントシステムの中で運用しています。

ペレット捕集用スクリーン設置例(雨水枡)

設備のリスク管理

東洋製罐グループでは、工場からの油の流出、排水処理の不具合などによる異常排水の流出など、公共用水域(河川や海など)や地下水の水質に悪影響を及ぼしうる事故を未然に防止することを目的として、各社の環境マネジメントシステムに従いリスク管理に努めています。特に環境事故の発生リスクの高い設備は、2021年度に制定した「東洋製罐グループ設備の環境リスク管理ガイドライン」をもとに、設備の配管、槽類、バルブなどの劣化や損傷などを定期的に管理しています。今後も継続的に各社の環境マネジメントシステムに基づいてPDCAを回すことで改善を図っていきます。

事業会社の取り組み

水資源に関する取り組み

東洋製罐株式会社広島工場 防水壁、防水扉の設置

2018年の西日本豪雨にて浸水被害を受けましたが、今後同様な自然災害が発生した場合に従業員の生命及び工場を守るため、2020年6月に敷地境界部分に高さ3mの防水壁と防水扉を設置し、敷地内への浸水を防ぐとともに、近隣住民の避難場所としても活用していただいています。

概略仕様
防水壁

防水壁

防水扉壁

防水扉壁

近隣住民避難階段

近隣住民避難階段

東洋ガラス株式会社千葉工場 雨水の回収システム

東洋ガラス株式会社千葉工場では、製函場の屋根に振った雨水を回収し、原水槽へ補給し、雨水を有効利用しています。年間約2,606㎥の雨水を回収しています。

工水フロー図

工水フロー図

雨水の回収配管設置

雨水の回収配管設置

ダムの外来魚調査に使える環境DNA チップを開発

東洋鋼鈑が医療分野において開発したDNAチップ遺伝子解析システムが、山口大学、日本工営株式会社との共同研究により、環境分野に応用できることがわかりました。
従来、ダム貯水池に生息している外来魚の実態調査は、調査員がダムに潜ったり、網で捕獲していたりしたため、コストや手間がかかっていました。今回開発した環境DNAチップを用いてダム貯水池の水1Lを採取し分析を行うと、どのような外来魚がいるのかを簡単に判別することができます。外来種とは、本来その地域に生息していない生物種の総称であり、その侵入によって生態系は深刻なダメージを受けていることが知られています。
ダム貯水池の水には、外来魚のフンや鱗に含まれるごくわずかなDNAが存在しており、この環境DNAチップは、そのような微量なDNAも捉えることができます。
この研究成果は2022年6月に国際学術誌「Landscapeand Ecological Engineering」に掲載されました。
東洋鋼鈑は今後も医療用のDNAチップを拡大していきますが、このようなダム貯水池や河川の環境保全といった、SDGsにつながる環境分野にも貢献していきます。

「ほっかいどう企業の森林づくり」に参画

日本トーカンパッケージは、北海道庁が取り進めている「ほっかいどう企業の森林づくり」に参画しています。北海道沼田町役場のご協力のもと、沼田町にある約0.5haの森林を借り受け、「DANDANの森」と命名し、2023年9月より森林整備活動を開始しました。
2024年度は、全国の同社社員が6~9月の4カ月間にわたって伐採作業や羊飼育用の柵やファイヤーピットの作成などを行い、自然とふれあいながら活動を進めました。

2024年度の取り組み

イオンカルチャープレートを用いたワカメ場造成事業「大阪府万博会場周辺海域ブルーカーボン生態系創出事業」

東洋ガラス(株)と(株)不動テトラが共同開発した「イオンカルチャー」は、海洋植物の生長を促進する二価鉄やケイ酸、リン酸イオンといった成分が、ゆっくりと水に溶け出すよう成分調整を行ったガラス製品です。
「イオンカルチャープレート」は、イオンカルチャーを表面に配置したモルタル プレートで、海洋沿岸部の大型海藻の増殖、漁場の造成に利用されています。港や海岸のテトラポッドの表面に取り付け、海藻の成長を促進することで、ブルー カーボン生態系の構築に寄与します。
本事業は、両社のイオンカルチャーとテトラポッドによる藻場造成の実績と経験を活かし、大阪・関西万博会場周辺海域のブルーカーボン生態系創出に寄与することを目的としています。
海藻類の生長に必要な鉄、ケイ素などを溶出するイオンカルチャープレートをテトラポッドに取り付け、生長を促進することで早期の藻場造成を目指します。また、ワカメの種糸や母藻を天然素材の網袋などにいれたスポアバッグをイオンカルチャープレート周辺に取り付け、ワカメ胞子の供給源とします。
2024年12月より設置を開始し、設置後は、潜水目視観察により被度(生育海藻が一定面積のブロック表面を覆う割合)の調査を年2回実施します。

2023年度の取り組み

森林整備に関する取り組み

東洋鋼鈑下松事業所では、地球温暖化の防止や水の重要性に配慮し、森林保護活動に取り組んでいます。2023年10月、下松事業所で使用する工業用水の水源である山口県周南市菅野ダム上流に位置する「ふれあいの森」で行われた山口県周南農林水産事務所主催の「第27回まちと森と水の交流会」に参加しました。このイベントには山口県や周南地域の企業から約200名のボランティアが参加しました。交流会では、ノコギリなどの道具を使用して、低木の伐採や枯れ木の除去などを行い、森林の整備に取り組みました。

Environmental(環境)