当社は、海藻などが大気中のCO₂を吸収し海底に長期貯留する「ブルーカーボン」の回復、および生物多様性の保全に向けて、2025年8月末より、アマモ場の再生を目指すプロジェクトを実施しています。
本取り組みでは、当社の連結子会社である東洋ガラス株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:野口信吾、以下「東洋ガラス」)が株式会社不動テトラと共同開発した藻類増殖材「イオンカルチャー」を用いて、仙台うみの杜水族館におけるアマモの成長観察調査・展示と、株式会社イノカ(本社:東京都文京区、代表取締役CEO:高倉葉太、以下「イノカ」)と共同でのアマモ成長促進効果の科学的検証をTAKANAWA GATEWAY CITYのビジネス創造施設「TAKANAWA GATEWAY Link Scholars' Hub(LiSH)」※1の水圏ラボにて行います。
当社は今後、本取り組みで得られた知見を活用し、宮城県の地域漁協や自治体との連携を通じた沿岸部でのイオンカルチャーの実装とアマモ場の再生を目指します。そして、全国のアマモ場への応用にもつなげることで、脱炭素社会と自然共生社会の実現を推進していきます。
※1 多様で先端的な知や技術を持つ人(Scholars)をつなげ、かけあわせる(Link)ことで、新たなビジネス・文化を創造することを目指すJR東日本が運営する施設です。JR東日本は、本施設を通じて、共創会員との実証実験の実施・新規プロジェクトの創出に取り組んでいます。
アマモは、「ブルーカーボン」生態系の創出に寄与するものとしても注目されているだけでなく、「海のゆりかご」とも呼ばれ、稚魚や小動物のすみかとなるほか、海中の窒素やリンなどの栄養塩類を吸収して水質を浄化する役割も担っています。
しかし、2011年の東日本大震災の影響により、多くの沿岸地域のアマモ場が流失しました。そして、震災から10年以上が経過した現在も、水質の変化や環境条件の悪化により、アマモ場の自然回復は進んでいません。アマモ場の減少は震災の影響のみならず、現在では全国的な課題となっています。
そこで、アマモの生育に必要な栄養成分の溶出量・溶出速度をコントロールできるイオンカルチャーを活用することで、震災による被害を受けた地域のみならず、磯焼け※2の影響を受けている地域を含めて、全国のアマモ場の再生を目指します。
※2 沿岸海域に生息する海藻の多くが死滅し、それに伴ってアワビなどの水棲生物が減少し、漁業に大きな打撃を与える現象