※1 2020年4月に設立された、ナノセルロース※3に関連する企業・大学・研究機関等で構成される団体。産官学の連携によるナノセルロースの技術開発と普及、会員企業間の協業や事業化推進によるナノセルロースの実用化・産業規模の拡大、さらには国際標準化による日本の産業競争力の向上を目的として活動しています。今回のNCJのブースでは、「ナノセルロースがもたらす持続可能な未来生活」をテーマにNCJ会員数社が中心になって展示を行う予定です。
※2 ナノセルロースの一つである、ナノサイズの微細結晶体。セルロースミクロフィブリルの結晶部から抽出されたものであり、径は3~50nm、長さは100nm~数μmほどで、セルロースナノファイバーと比べるとアスペクト比が小さいのが特徴です。
※3 植物セルロース繊維を、幅が100nm以下のナノレベルまで微細に解きほぐしたもので、CNCやセルロースナノファイバー(以下「CNF」)などのセルロース由来ナノ材料の総称。主に植物由来で、木材などから抽出され、軽量かつ高い強度を持ちながら、環境に優しい再生産可能な新しいバイオ系ナノ素材として世界的に注目され、さまざまな用途への活用が検討されています。
本製品は、高機能で環境に優しい新素材であるCNCを日本で初めて使用した酸素バリア性紙カップです。当社と当社の連結子会社である東罐興業株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:田辺宏信)の技術の融合により、CNCを使った紙へのバリアコーティング技術を開発し、紙素材へのガスバリア性付与を可能にしました。
コーティングされたCNCは、自発的に並んでいきながら、酸素を通しにくい緻密構造を形成し、バリアとして機能します。また、従来のバリア性紙カップでバリアフィルムとして使用されていたプラスチックを削減でき、温室効果ガス(GHG)排出量を削減することが可能なことに加え、内容物の鮮度や香りを保護する効果もあります。
本展示では、本製品の用途展開をイメージしたサンプル3種類(コーヒー・ヨーグルト・ポップコーンのカップ)をご覧いただけます。
東洋製罐グループは、今後、オールバイオマスバリア紙容器の開発を目標にし、本製品における更なるバイオマス素材への置換を進めていきます。
新エコクリスタルカップに使用されているCNCの酸素バリア性メカニズムを体感いただくために、CNCの液晶性を可視化できる観察装置を展示します。バリアコーティングに使用されているCNCの分散液※4を振りながら本装置の偏光板を通して見ると、まるでオーロラのように色や光の変化が見られます。この現象は、CNCが液体のように動きながらも互いに作用し自然に整列することで、光の透過や屈折に影響を与え、複屈折が起きるために生じます。その結果、色や模様の変化として観察されます。また、同様にバリア性を有するCNF分散液やバリア性能を改良したCNC分散液についても比較展示を行い、粘度や偏光の違いを体感していただく予定です。