脱炭素社会へ向けて

大気中の温室効果ガス(以下GHG)濃度上昇に伴う地球温暖化の進行は、人々の生活や社会に大きな負の影響を与えます。東洋製罐グループは事業活動、製品、サービスの双方からGHG削減に取り組み、脱炭素社会の実現に貢献します。

Scope1、2削減の取り組み

電力の再生可能エネルギー化

東洋製罐グループは、事業活動によるGHG排出量を削減する取り組みの一環として、太陽光発電設備の導入を進めています。

太陽光発電設備を導入(オンサイト)

東洋製罐グループは、2023年度において、新たに国内3拠点および海外1拠点に太陽光発電設備を導入しました。


2023年度導入実績

東洋製罐 滋賀工場

東洋鋼鈑 下松工場

東洋メビウス 熊谷物流センター

Crown Seal Public Co., Ltd.

営農型太陽光発電設備を導入(オフサイト)

東洋鋼鈑では、中国電力株式会社(以下「中国電力」)との間で、オフサイトPPA※1に関する契約を締結し、営農型太陽光発電設備の導入を進めています。中国電力が株式会社エコスタイルおよび株式会社彩の榊と協力して、営農型太陽光発電所を新たに計64MW開発し、発電した電力と環境価値を下松事業所に供給する予定です。なお、営農型太陽光発電※2を活用したオフサイトPPAは、中国地域では初の取り組みとなります。下松事業所では2030年度までに使用する電力量の約20%を追加性※3を有するグリーン電力に置き換える計画であり、これにより年間約25,000tのGHG削減効果が期待されます。また、この取り組みにより、耕作放棄地の再生利用や農業経営の改善による地域農業の活性化にも寄与することが期待されます。

  • オフサイトPPA(Power Purchase Agreement):発電事業者が電力需要施設と離れた場所に太陽光発電設備を設置し、再エネ電力を小売電気事業者が電力系統を経由して特定の需要家へ長期にわたって供給する電力購入契約のこと
  • 農地の上部空間に太陽光発電設備を設置することで、農業と発電を両立させる方法。これにより、耕作放棄地の再生利用や農業経営の改善、農作物の栽培による二酸化炭素の削減などが可能となり、再エネ導入量の拡大にも寄与する
  • 既存の再エネ設備の利用ではなく、新たに太陽光発電設備を設置するなどして再エネの導入量を拡大する効果があるものを指す

省エネルギー化

川崎市よりスマートライフスタイル奨励賞を受賞

メビウスパッケージング川崎工場は、2023年10月18日、川崎市の第12回スマートライフスタイル大賞表彰式において奨励賞を受賞しました。 スマートライフスタイル大賞は、CO2削減・地球温暖化対策の推進を目的として創設された賞で、川崎市が市民や事業者などから、省エネ・節電などのさまざまなCO2削減行動の取り組みを募集し、優れた取組を表彰しています。川崎工場は今回、工場での省エネ活動が評価され、受賞につながりました。

熱源転換・新技術

大型ガラス溶融窯に酸素燃焼方式の導入

東洋ガラス株式会社は、2025年12月に予定している千葉工場ガラス溶融窯1基の大規模修繕にあたり、燃焼方式を空気燃焼から酸素燃焼に変更します。一日当たりの生産能力が200tを超えるガラスびん用大型ガラス溶融窯に酸素燃焼方式を導入するのは国内初となります。この方式の導入により、溶融窯1基あたりのGHG排出量が約20%削減されることが見込まれます。
2024年5月24日プレスリリース:
東洋ガラスが大型ガラス溶融窯に酸素燃焼方式を国内初導入-温室効果ガス排出量削減に寄与-

Scope3削減の取り組み

原材料の低炭素化および環境配慮型製品の提供

缶底耐圧強度向上技術(CBR)による軽量アルミ缶

東洋製罐は、飲料缶の底部をリフォームして強化し、軽量化を可能とする缶底耐圧強度向上技術(CBR(Compression Bottom Reform))を使用したアルミ飲料缶の開発を実現しました。この技術は、aTULC缶胴径202径(190ml)とアルミDI缶胴径211径(350ml・500ml)に採用されています。これにより、GHG排出量のさらなる削減が期待されます。
排出削減量などの詳細は以下のプレスリリースをご覧ください。
【2024年3月26日プレスリリース】東洋製罐が国内最軽量アルミ缶の開発を実現、量産を開始-温室効果ガス排出量削減へのさらなる貢献-
【2024年8月29日プレスリリース】東洋製罐の世界最軽量アルミ缶 コカ・コーラ社の「ジョージア」で採用、量産開始-GHG排出量のさらなる削減を実現-

「ライスレジン」を使用した製品の試作・現地試験を実施

東罐興産は、石油系樹脂の焼却時のGHG排出量削減を目的に、国産の廃棄米や古米などを使用したバイオマスプラスチック「ライスレジン」を配合した自社製品の開発を行っています。米の栽培(育苗)に使用する農業用ポリオレフィン系特殊フィルム「シルバーポリトウ水稲用」と「ほなみ」の2品種で試作し、2023年春に栽培試験を実施しました。試験結果は良好で、既存の製品と同じ苗質であることが確認されました。そのため、2025年には限定的に販売を開始する予定です。ライスレジンの使用は食品ロスの削減にもつながります。また、廃棄米や古米の使用により、国内の米農家を支援し、産地の活性化にも寄与していきます。

無溶剤型パウチの増産体制で温室効果ガス(GHG)排出量を大幅削減

東洋製罐豊橋工場では、無溶剤型の生産ラインをレトルト食品用パウチの生産にも対応できるように開発したことから、無溶剤型生産ラインを増設しました。無溶剤型ラインは、溶剤型ラインと比較してGHG排出量を1ラインあたり約94%削減し、有機溶剤使用量も大幅に削減することができます。2024年3月には、この取り組みが評価され、豊橋商工会議所「第12回環境経営賞」最優秀賞を受賞しました。今後も東洋製罐は環境に貢献できる製品づくりを通して、持続可能な社会の実現に向けて取り組みます。

  • 利益の追求と環境負荷の低減を両立しながら、地域企業が行っている先進的かつ実践的な取り組みを積極的に広く発信することで、環境経営の考え方を普及浸透させることを目的とした賞
表彰式の様子

モーダルシフト・新技術

物流における環境負荷低減の取り組み

東洋製罐グループは、環境負荷を低減する輸送や倉庫業務への取り組みを積極的に実施することで、物流におけるGHG排出量の削減に努めています。 輸送・配送業務においては、お客さまに最も近い工場での生産計画の立案、全国の拠点を活かした高効率な輸配送、エコタイヤ装着の推進、トレーラーの活用および大型車両の積載率アップや納品を終えた後の復路便の活用、お客さまやパートナー企業との共同配送の実施などの取り組みを行っています。 倉庫業務においても、省エネルギー設備の導入や生産拠点と得意先群の間に在庫を配置するハブ倉庫の整備を行っています。 また、物流業界のトラック運転者不足が深刻になっていることを受け、持続可能な物流の実現を目指す「ホワイト物流」推進運動に賛同し、取り組みを進めています。この推進運動は同時に環境負荷低減にも寄与するものと考えています。

モーダルシフトの推進

東洋製罐グループは、トラックに比べてGHG排出量が少ない鉄道・海上船舶輸送に転換するモーダルシフトを推進しています。輸送品の特性に配慮しつつ、環境負荷低減とトラックドライバー不足などの問題解決に取り組んでいきます。

これまでの主な取り組み

※表は左右にスクロールできます

2015年10月

東洋ガラス物流

輸送効率の良い大型31ftコンテナを採用
千葉工場と滋賀工場間の製品輸送を鉄道輸送へシフト

2017年12月

東洋製罐
東洋メビウス

31ftコンテナを採用
関東~関西での缶蓋輸送を鉄道輸送へシフト

2018年11月

東洋メビウス

第5回モーダルシフト最優良事業者賞(大賞)を受賞
関東~関西の缶蓋製品輸送におけるモーダルシフト化への取り組みが評価

2019年9月

東罐ロジテック

国土交通省 物流総合効率化法に基づく「総合効率化計画」に認定
共同申請者4社とともに、包装資材輸送におけるGHG排出量削減とトラックドライバーの運転時間短縮を目的とした取り組みを実施。全区間トラックによる陸上輸送から、輸送距離の9割以上を鉄道貨物輸送へ転換

2021年4月

東洋製罐
東洋メビウス

「令和2年度エコシップ・モーダルシフト事業認定事業者」に認定

2024年10月

東罐興業
東罐ロジテック

31ftコンテナを2基導入
小牧~福岡間、静岡~福岡間、福岡~静岡間(同年12月稼働開始予定)の製品輸送を鉄道輸送へシフト
詳しくはこちらをご覧ください

その他の取り組み

容器包装関連団体との3R推進や気候変動緩和活動

東洋製罐グループは、日本国内の容器包装8素材(スチール缶、アルミ缶、プラスチック製容器包装、PETボトル、紙製容器、飲料用紙容器、段ボール、ガラスびん)のうち7素材の容器包装を製造しており、3Rを推進する各素材の個々の団体やその連合団体への理事、委員および活動資金(会費)を拠出し、主要メンバーとして3Rの推進や気候変動緩和のための温室効果ガス削減活動を行っています。
2020年10月、日本政府が発表した「2050年カーボンニュートラル宣言」では、2050年までに脱炭素社会を実現し、温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目標としています。東洋製罐グループはこれに対応し、2021年に「低炭素社会」の実現から2050年のカーボンニュートラルを目指した「脱炭素社会」の実現に変更し、2030年度に向けた中長期目標を上方修正しました。また、東洋製罐グループは、「エネルギー使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」や「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」等、国の気候変動に関連する法規制を支持し、年に1回行政へエネルギー使用量、省エネルギー目標の達成状況、温室効果ガス排出量の報告書を提出しています。そして、国が推進しているTCFD提言への取り組みを支持し、情報を公開しています。

Environmental(環境)