資源循環社会へ向けて
基本的な考え方
東洋製罐グループの事業は、金属や石油といった枯渇性資源から作られた原材料を加工することで包装容器や鋼板などを製造しています。そのため投入材料の削減や、発生廃棄物の削減および再資源化を図るなど、資源を有効利用することはグループの大きな使命といえます。特に包装容器廃棄物は、環境省による2023年度の家庭ごみの組成調査※で、容積比で63.6%を占めていることがわかっています。
「Eco Action Plan 2030」では、資源循環社会の実現に向けて、枯渇性資源の使用量を30%削減する目標を掲げ、活動を進めています。従来より実施している容器の軽量化に加え、再生材の積極的な活用にも取り組んでいます。金属缶における再生材使用比率の向上、プラスチック容器における再生材および植物由来樹脂の利用率向上は、「Eco Action Plan2030」の目標達成、さらには社会的な課題の解決にもつながります。これらの活動は資源の有効利用だけでなく、材料製造時におけるエネルギー削減にも寄与するため、地球温暖化対策の観点からも重要な取り組みであると考えています。また、分別に適した製品設計開発や使用済み容器の回収を促進する仕組みづくりにも取り組み、サーキュラーエコノミーの実現に貢献していきます。
事業活動にともなう環境負荷
東洋製罐グループでは全体の物質収支の把握に努め、環境負荷の低減に取り組んでいます。
東洋製罐グループ物質フロー(2024年度)
- 図は左右にスクロールできます
プラスチック使用製品産業廃棄物の排出量
東洋製罐グループではプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律に基づき、プラスチック使用製品産業廃棄物の排出量を管理し、抑制・再資源化に努めています。
※表は左右にスクロールできます
| 排出量(ton) | |||
|---|---|---|---|
| 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
| 東洋製罐グループホールディングス | 50 | 57 | 55 |
| 東洋製罐 | 2,909 | 2,933 | 3,596 |
| 東洋鋼鈑 | 2,057 | 2,189 | 1,898 |
| 東罐興業 | 402 | 500 | 366 |
| 日本クロージャー | 155 | 135 | 99 |
| メビウスパッケージング | 504 | 223 | 235 |
| 東洋ガラス | 111 | 116 | 110 |
| 東洋エアゾール工業 | 166 | 137 | 146 |
| TOMATEC | 238 | 261 | 191 |
| 合計 | 6,592 | 6,551 | 6,694 |
持続可能な包装容器
包装容器は、製品を保護し、輸送や保管を容易にするために重要な役割を果たしてきました。また、消費者にとっては商品の情報を提供し、購買意欲を刺激する手段でもあります。しかし、これまでの包装容器は多くが使い捨てであり、環境に大きな負荷をかけてきました。これからは環境負荷を低減することが重要となります。持続可能な包装容器の実現には、再生可能な素材の使用やリサイクルの促進、軽量化などが求められます。また、企業と消費者が協力して環境に配慮した選択を行うことが不可欠です。地球環境を守りつつ、経済活動を持続させるために、当社グループでは持続可能な包装容器の開発に取り組んでいます。
Reduce(リデュース):容器の軽量化の取り組み
東洋製罐グループでは、材料の使用量を削減するために容器の軽量化に取り組んできました。容器を軽量化することで、金属缶の材料である鉄やアルミ、PETボトルの材料である石油など、枯渇資源の使用量を減らすことができます。当社グループでは、容器の使いやすさ、中身を守る品質を維持・向上させながら、限りある資源を有効に利用できるよう努力を続けています。
飲料用スチール缶・アルミ缶
飲料用スチール缶・アルミ缶の重量は、より薄い鋼板やアルミ板を使用することで軽量化が進んでいます。飲料用スチール缶は2004年度比で約-16%、アルミ缶は約-12%の軽量化を実現しました。なお、2024年度におけるアルミ缶の軽量化率が大きく向上している主な要因としては缶底耐圧強度向上技術(CBR)の採用によるものです。

飲料用スチール缶・アルミ缶の軽量化率推移※
- ※ 東洋製罐で製造している全ての飲料缶の加重平均値、2004年の加重平均値を基準とした軽量率の推移
缶底耐圧強度向上技術(CBR)による軽量アルミ缶
東洋製罐は、飲料缶の底部をリフォームして強化し、軽量化を可能とする缶底耐圧強度向上技術(CBR(Compression Bottom Reform))を使用したアルミ飲料缶の開発を実現しました。この技術は、aTULC缶胴径202径(190ml)とアルミDI缶胴径211径(350ml・500ml)に採用されています。その結果、従来のアルミ飲料缶に比べて軽量化が可能となりました。
詳しくは以下のプレスリリースをご覧ください。


PETボトル
飲料用や調味料用などのPETボトルは、デザイン形状や成形条件などの工夫により、樹脂の使用量を減らしています。
使いやすくて捨てやすい環境対応PETボトル【カゴメ株式会社様との共同開発】
東洋製罐のユーザビリティと環境への配慮を両立させた、新しい形状の軽量PETボトルです。従来品と比較して31gから28g(7%)の軽量化を実現しました。また、環境に配慮した100%リサイクルPET素材を使用しています。
使いやすくて捨てやすい環境対応PETボトル製品ページ
コカ・コーラ🄬 500ml r-PET 100% 軽量化ボトル【日本コカ・コーラ株式会社様との共同開発】
東洋製罐は中間製品であるプリフォームの形状とボトル底部のペタロイド形状を変更し、底部のみを軽量化することで、従来容器と同等の性能と意匠を確保しつつ、23gから21gへの2g(9%)の軽量化を実現しました。
【2024年10月24日プレスリリース】東洋製罐の「コカ・コーラ🄬 500 ml r-PET 100% 軽量化ボトル」および「超軽量アルミ飲料缶」が第48回木下賞を受賞-軽量化を実現した技術革新により、さらなる環境負荷の低減に貢献-
ガラスびん
ユニバーサルデザインびん
東洋ガラスのユニバーサルデザインびんの1つである超軽量リターナブル牛乳びんは、持ちやすさ、注ぎやすさの向上など、人間工学の視点から設計されたガラスびんです。胴部のくびれと特殊コーティングの技術で、従来びんの重量460gから280gへの180g(約40%)の軽量化を実現しました。
ユニバーサルデザインびん製品ページ
キャップ
PETボトル用牛乳キャップ
日本クロージャーの牛乳向けPETボトルに対応した、小型・軽量の樹脂キャップです。このキャップは、外径と厚さを調整することで、従来品の2.20gに対し、本製品は1.35gとなり、約39%の樹脂量削減を実現しました。
PETボトル用牛乳キャップ製品ページ
Reuse(リユース):容器の再利用の取り組み
容器をきれいに洗浄し、何回もくり返し使うことで、ごみを減らすことができます。
規格統一リターナブルびん「Rマークびん」
プラスチック製本体容器と詰め替え用フィルムパウチ
リユースボトル
Recycle(リサイクル):容器の再利用の取り組み
使い終わった容器を原料として再利用することで、資源の節約につながります。東洋製罐グループは、当社の包装容器事業に関連する各素材のリサイクル団体に加入し、運営も含めた団体の活動に積極的に参加しています。また、分別しやすい容器の設計・開発、容器文化ミュージアムや展示会出展などを通じて、幅広くリサイクルの啓発を行っています。
国内における品目別リサイクル率等の推移【各団体が公表するデータを転載】

スチール缶※1・アルミ缶※2

PETボトル※3

ガラスびん※4
- スチール缶リサイクル協会:2021年度から始まり2025年度を目標年度とする自主行動計画2025の数値目標「93%以上維持」
- アルミ缶リサイクル協会:「自主行動計画2025」目標 リサイクル率92.0%以上を維持
- PETボトルリサイクル推進協議会:「3R推進のための自主行動計画2025」リサイクル率85%以上の維持
- ガラスびん3R促進協議会:2025 年度目標リサイクル率 70%以上
リサイクル原料を使用した、環境負荷の低い缶蓋「EcoEnd™」
東洋製罐は株式会社UACJと共同で、飲料缶用の蓋「EcoEnd」を開発しました。缶蓋と缶胴では求められるアルミニウムの強度などの特性が異なるため、缶蓋には一定量の新地金を投入し成分調整をする必要がありました。しかし、「EcoEnd」の開発により、これまで困難であった多くのリサイクル原料の缶蓋への使用が、溶解後の成分調整と製造技術の工夫によって可能となりました。さらに、「EcoEnd」はリサイクル原料の使用量を大幅に引き上げたため、原材料製造時の GHG(温室効果ガス) 排出量を大幅に削減することができます。
【2023年12月4日プレスリリース】材料・製造方法を大きく見直した環境にやさしい 次世代の飲料缶蓋「EcoEnd™」を開発-東洋製罐とUACJ共同の取り組みにより温室効果ガス排出量を4割削減- 【2024年7月9日プレスリリース】温室効果ガス排出量を4割削減する次世代の飲料缶蓋「EcoEnd™」生産体制の構築を完了-UACJと東洋製罐の共同の取り組み-
循環型社会の実現に向け「アルミ缶水平リサイクル」のサプライチェーンを構築
東洋製罐グループホールディングスおよび、住友不動産株式会社(以下「住友不動産」)、株式会社UACJ(以下「UACJ」)は、使用済みのアルミ缶を原料に再生し、再びアルミ缶製造に活用する「水平リサイクル」のサプライチェーンを共同で構築し、2023年に実施したテスト運用を経て、2024年4月より、住友不動産の保有する都内オフィスビルを起点として運用を開始しました。
今回構築したサプライチェーンでは、住友不動産が保有するオフィスビルから排出されるアルミ缶が再生工程を経て、UACJの工場に再生原料として届き、アルミ板製品に加工されます。最終的にアルミ板製品は、東洋製罐グループのもとでアルミ缶や飲料用アルミカップ「Lumisus®(ルミサス)」へと再生利用されます。
また、本取り組みをオフィス利用者に周知し、ボトムアップでリサイクル意識を向上することを目指して、住友不動産が運営するオフィスの桜まつりなどを皮切りに、「Lumisus®」を屋外飲料用カップとして導入・活用し、アルミ缶同様のスキームで水平リサイクルすることも予定しています。
アルミ新地金は、全量を輸入しており国際情勢の影響を受けやすい傾向にあります。水平リサイクルを実現することで、アルミ新地金からリサイクル地金への代替を推進し、貴重な資源の国内循環や温室効果ガス排出量の削減に貢献します。

水平リサイクルスキームの概念図
PETボトルキャップの水平リサイクルの実現に向けて
日本クロージャー、アサヒグループジャパン株式会社、双日プラネット株式会社は、2023年1 月12日から PETボトル用キャップの水平リサイクルの実現に向けて、3社共同で技術検証の取り組みを開始しました。コンソーシアムでは、キャップ回収のスキーム構築や技術検証、品質基準の確立を行い、事業性を評価しています。
【2023年1月12日プレスリリース】PETボトルキャップの水平リサイクル「キャップ to キャップ」実現に向けたコンソーシアムを発足
マスバランス認証取得に向けた取り組み
- 原料から製品への加工・流通工程において、導入原料のうちある特性を持った原料がそうでない原料と混合される場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて、生産された製品の一部にその特性の割り当てを行う手法
- ISCC(International Sustainability and Carbon Certification: 国際持続可能性カーボン認証)は持続可能性および炭素に関する国際認証であり、その中でISCC PLUSは全世界で販売されるバイオマスベースや再生由来原料および製品について、サプライチェーン上で管理・担保する制度
【ISCC PLUS要求事項に関する宣言】
東洋製罐グループはISCCの最新の規定に則り、ISCC PLUS要求事項に準拠すること、また、環境寄与に関するダブルカウントはしないことを約束し宣言します。
持続可能な紙資源の利用
東罐興業では、原料に間伐材を使用した紙コップを製造・販売しています。間伐とは、一部の木を伐採することで残った木の生長を促し森林の健康を守ることで、その材木を間伐材と呼びます。間伐材を使用することで、森林の保全に貢献し、持続可能な資源利用を実現しています。


カップ洗浄機「Re-CUP WASHER(リカップウォッシャー)」展開に向けた取り組み
東罐興業は、カップ洗浄機「Re-CUP WASHER(リカップウォッシャー)」を利用した「CUP TO CUP Recycling System」のしくみにより、紙コップを再資源化してリサイクルカップにつなげる取り組みを進めています。2023年度は以下の取り組みを実施しました。今後もリカップウォッシャーの展開を進め、サーキュラーエコノミーの実現に貢献していきます。
【2023年5月18日プレスリリース】G7広島サミット国際メディアセンター(IMC)で 紙コップリサイクルを実証実験 ~サーキュラーエコノミーの実現に向けてカップ洗浄機「Re-CUP WASHER(リカップウォッシャー)」を活用~ 【2024年1月31日プレスリリース】東罐興業がカップ洗浄機「Re-CUP WASHER(リカップウォッシャー)」の提供体制を構築~2024年1月より本機の販売・レンタル・リースを開始~ 【2024年2月21日プレスリリース】東罐興業が「宮島夜市」でカップ洗浄機「Re-CUP WASHER(リカップウォッシャー)」を用いて使用済みカップを回収し、リサイクルに繋げる啓発活動に参加 ~サーキュラーエコノミーの実現に向けて広島女学院大学・㈱シンギとの共同実施~イニシアチブへの参加
東洋製罐グループはプラスチックのバリューチェーンを構成する12社で、持続可能な社会の実現に向けて、プラスチック課題解決に貢献すべく、使用済みプラスチックの再資源化事業に取り組む共同出資会社、株式会社アールプラスジャパンを設立し、2020年6月から事業を開始しました。アールプラスジャパンへの参画を通して、環境負荷の少ない効率的な使用済みプラスチックの再資源化技術の開発、および国内での実用化に向けた取り組みを支援していきます。
【2024年9月30日ニュース】使用済みプラスチックの再資源化事業に取り組む「株式会社アールプラスジャパン」への追加出資について
容器包装リサイクル法への対応
東洋製罐グループは循環型社会の実現に寄与することを目的に、容器包装リサイクル法が定める特定事業者として、毎年再商品化委託料を公益財団法人日本容器包装リサイクル協会に収めています。同制度の詳細については、公益社団法人日本容器包装リサイクル協会のウェブサイトを参照ください。
公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会ウェブサイトグループ・事業会社の取り組み
2024年度の取り組み
「ごみフェス2024」のオープニングイベントを5月3日(ごみの日)に開催
東洋製罐グループは、お笑い芸人でごみ清掃員のマシンガンズ滝沢さんが主宰する「滝沢ごみクラブ」とのコラボレーションにより、「ごみフェス2024」の初日となる2024年5月3日(金・祝)に、公開オープニングイベントを当社(大崎フォレストビルディング)にて開催しました。
今年のテーマは「ごみ×アート」で、SDGsの啓発だけでなく、ごみから作られるアートを通して、大人からお子様まで楽しめるイベントを目指しました。イベント当日には、トークイベント、ワークショップ等、SDGsを身近に感じてもらえるような、ごみにまつわる様々な催し物を実施し、近隣住民をはじめ、環境問題に興味のある方など、多くの方々にご来場いただきました。
輸送時の包装を返却可能で繰り返し使用できる木箱に変更
Stolle Machinery do Brasil Industria e Comercio Equipamentos Ltda.は、廃棄物削減のため、サプライヤーと協力して、輸送時に使用する段ボールなどの使い捨て包装を、返却可能な木箱に変更しました。廃棄物を大幅に削減するだけでなく、耐久性のある木箱を繰り返し使用することで循環経済に貢献します。