人権の尊重

人権課題に関する定量調査を実施

重要課題の特定に際して、世界的なリスク調査・分析機関Verisk Maplecroft社の人権リスクデータベースに基づき、事業と関連の深い10の人権課題について、事業領域別・国別に顕著な影響評価の定量調査を実施しました。その結果、東洋製罐グループが展開している事業領域の業界リスクは全体的に中から低レベルであり、最も優先すべき潜在的な人権課題は「容器・包装業界」「鉄・鋼生産業界」における「労働安全衛生」「適正賃金・労働時間」「先住民の権利」であることが特定されました。

さらにグループ内の関係者に対するヒアリングを中心とした調査を行い、潜在的な人権課題とかかわりの深いサプライチェーンおよびステークホルダーを特定しました。その結果、サプライチェーン全体で「労働安全衛生」「適正賃金・労働時間」「先住民の権利」の課題があり得ることがわかりました。また、「調達」「製造」において「労働安全衛生」「適正賃金・労働時間」「先住民の権利」の取り組みが重要とされました。一般的に食品業界が影響を及ぼす可能性があるステークホルダーとしては、「労働者」「先住民族・地域住民」があげられました。
今後は、人権への影響度分析・評価を東洋製罐グループ各社で確認し、具体的な取り組みへの落とし込みを進めていきます。

国連グローバル・コンパクトへの署名

国連グローバル・コンパクト(UNGC)は、国連と民間(企業・団体)が手を結び、持続可能な成長を実現するための世界的なイニシアチブです。署名する企業・団体は「人権の保護」「不当な労働の排除」「環境への対応」「腐敗の防止」に関わる10原則の支持と実践が求められています。
東洋製罐グループは、2022年10月にUNGCを支持する署名を行いました。10原則に従った責任ある事業活動を行うとともに、SDGsの達成に向けて行動することで、持続可能な社会の実現に貢献します。

また、UNGCのローカルネットワークである「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」にも加入しています。各分科会では、他社の実践事例や専門家から学び、サステナビリティの考え方や取り組みについて議論し、情報交換をしています。また、参加企業・団体が共同で成果物を制作し、情報を発信するといった活動も行っています。

人権に関する教育と浸透

人権問題への理解を深めるe ラーニング実施

当社グループでは、国内外グループに属する全従業員を対象に、あらゆる差別やハラスメントを禁止した「企業行動規準」の浸透活動を通じて人権課題への理解を促進しています。
人権の啓発活動として、これまでビジネスと人権のeラーニング教材「人を大切に eラーニング エッセンシャル版」(制作:一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター〔ヒューライツ大阪〕、公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本)を、2019年度から2021年度の3年間で延べ5,806名が受講し、事業活動と人権とのつながり、および国際規範である「世界人権宣言」や「ビジネスと人権に関する指導原則」などについて学んできました。
2022年度は、eラーニングの教材を下記4つのセクションに分類した内容で自社作成し、学習を行いました。

Section

  • 人権とは ~ ビジネスと人権
  • 人権デューディリジェンス
  • 東洋製罐グループ人権方針
  • 外国人労働者の課題

今回のeラーニングの受講対象者は、業務上、外国人労働者と関わりが強い部門(雇用、契約、コンプライアンスなど)の役員や従業員979名としました(修了率99%)。東洋製罐グループの人権方針や自社における外国人労働者の課題などの理解浸透を図るため、内容は自社で考案しました。身近な人権課題と接することにより、人権の尊重に関して深く学ぶことができました。
今後も人権の尊重が企業文化として定着するように、人権啓発活動に取り組んでいきます。

実施会社

  • 東洋製罐グループホールディングス
  • 東洋製罐
    • 本州製罐
    • 日本ナショナル製罐
    • 琉球製罐
    • 東洋製版
    • 福岡パッキング
    • ティーエムパック
    • ジャパンボトルドウォーター
    • 東洋製罐グループエンジニアリング
    • 東洋メビウス
  • 東洋鋼鈑
    • 富士テクニカ宮津
    • 鋼鈑商事
    • 鋼鈑工業
    • 東洋パックス
    • 共同海運
    • 東洋パートナー
    • 下松運輸
  • 東洋ガラス
    • 東洋佐々木ガラス
    • 東洋ガラス機械
    • 東北硅砂
    • 東硝
    • 東洋ガラス物流
    • イチノセトレーディング
  • メビウスパッケージング
  • 東洋エアゾール工業
  • TOMATEC
  • 東罐商事
  • 東罐共栄
  • 東罐興業
    • 日本トーカンパッケージ
    • 東罐興産
    • 東罐高山
    • 東罐ロジテック
    • サンナップ
    • 尚山堂
  • 日本クロージャー
    • 新三協物流

「企業の人権課題」をテーマに研修会を実施

TOMATECでは、2022年10月のコンプライアンス推進 月間活動として、外部講師を招いて企業の人権課題をテーマに研修会を開催しました。SDGsと人権のつながりや、個人が世界中につながることを可能にするインターネットやSNSに関わる人権課題についての研修を、100名以上の従業員が受講しました。

外国人労働者、外国人技能実習生の人権 現地調査実施

東洋製罐グループでは、2019年に実施した「人権課題の定量調査」において優先すべき人権課題は「労働安全衛生」「適正賃金・労働時間」「先住民の権利」であると特定されました。調査結果を受けて、日本国内のグループ会社における「外国人労働者」「外国人技能実習生」の人権に関する現地調査を実施しました。一般社団法人ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・ サプライチェーン(ASSC)の協力を得て行いました。具体的には、メビウスパッケージング茨城工場と東洋エアゾール工業三重工場で、契約書などの書類チェック、住環境の実地確認のほか、外国人労働者・技能実習生12名に対する母国語でのインタビューを実施しました。今後は調査結果を踏まえ、他グループ会社においても人権課題のチェックを行い、改善に努めます。

ステークホルダー・エンゲージメントプログラムへの参加

東洋製罐グループは、NPO法人経済人コー円卓会議日本委員会が主催する、ニッポンCSRコンソーシアム「2022年度ステークホルダー・エンゲージメントプログラム(人権デューディリジェンスワークショップ)」に参加しました。2022年度は新型コロナウイルス感染症の影響で、Zoomシステムと対面を併用した形式で実施されました。
本プログラムの前半「有識者からの問題提起」では、ウクライナ避難民をはじめとする、国内避難民・難民の問題、地球規模で汚染が進むプラスチックごみ問題、日本における移住労働者(外国人技能実習生を含む)問題、ビジネス利用が進むサイバー空間上の個人情報の扱いの危うさの問題など、10の問題提起について議論を行い、人権問題に関する理解を深めました。
プログラムの後半では、参加した製造業の企業各社とともに、UNEP F(I 国連環境計画・金融イニシアティブ)策定の人権ガイダンスツール(2011年策定、2014年改正)を参考に、ニッポンCSRコンソーシアムが2021年度に策定した「業界毎に重要な人権課題」の見直しを行いました。
今後は本プログラムで得た知見を活用し、人権問題への対応を進めていきます。

©2022 Caux Round Table Japan

2022年度 ステークホルダー・
エンゲージメントプログラム レポート
(3,282KB)

労使における人権

東洋製罐グループでは「企業行動規準」において「あらゆる場面において、国際的に認められた人権(結社の自由、団体交渉についての権利、賃金を含む)や、自身が業務を行っている国の人権に関する法令を理解し尊重します。」としており、企業活動全般についての労働組合との情報共有や労使一体での課題解決に向けた話し合いを積極的に行っています。
一部のグループ会社には労働組合が組織されています(労働組合加入率は連結グループ全体の51.9%)。
具体的には「働き方改革」「安全衛生」「福利厚生」などをテーマに積極的な労使協議を行い、経営と労働組合、従業員とのコミュニケーションを通じて健全な労使関係構築・維持に努めています。

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