従業員の尊重:多様な人材の共創・働き方改革

多様な人材の共創

DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進

東洋製罐グループが企業競争力を高め、永続的に発展していくためには、誰もが自己の能力を最大限に発揮し、自分自身が成長するとともに、グループの成長にも貢献していく必要があります。そのためには、女性、外国人、障がい者など、目に見える多様性だけでなく、考え方の違いなど、目に見えない多様性についても、一人ひとりが互いに認め合える風土の醸成が不可欠です。
東洋製罐グループでは、「長期経営ビジョン2050『未来をつつむ』」の2つの柱の1つとして「多様性への対応」を掲げ、人権・DE&I推進分科会の活動を通じて、新たな価値創造につながる人材プラットフォームの整備を進めていきます。

女性活躍推進のさらなる拡大

東洋製罐グループは、女性活躍推進法、次世代育成支援対策推進法に基づき、「一般事業主行動計画」を作成し活動しています。
従業員全員が働きやすい環境をつくることによって、全ての従業員がその能力を十分に発揮できるようにするため、2021年度より以下のように取り組みを進めています。
人事部門を中心に各社と情報を共有し、入社時、育児休業取得時など各キャリア段階に合わせてきめ細かい対応を進めていきます。上司である管理職のコミュニケーション力の向上や、女性従業員本人のキャリア形成に関する意識づけにつなげるなどの仕組みづくりを行います。
前回計画から継続して女性採用比率拡大に取り組むため、製造現場の作業軽減につながる設備導入の推進、多様な働き方に対応できるような制度の改善や充実を図ります。

女性活躍推進の実績はこちら

外国人雇用の取り組み

東洋製罐グループでは海外事業のさらなる展開に向け、グローバルに活躍できる人材を採用するため、留学生や帰国子女など、応募制限を設けることなく採用活動を行っています。
また、外国人技能実習制度の趣旨に適合した運用のもと、工場の労働力の確保と開発国への技術支援を目的に、東南アジアを中心に海外実習生の受け入れも行っています。

シニア層の活躍推進

東洋製罐グループでは法令に則り60歳を定年としていますが、再雇用制度により65歳までの雇用を確保しています。2023年度における再雇用率は、グループ7社合計87.1%で推移しています。
定年再雇用されたベテラン従業員を教育担当に配置するなど、技術・スキルの伝承を継続的に行っています。また、製造現場では重量物の運搬などの自動化を進め、誰でも長く働ける就業環境の整備に努めています。
なお、グループ7社においては、2025年4月より、定年年齢を60歳から65歳に引き上げる制度改定を予定しています。これは、「長期経営ビジョン2050『未来をつつむ』」の実現に向けて、従業員への多様な働き方・キャリア形成支援の拡充を通じてエンゲージメントを高め、全員が活躍できる組織を目指すためです。この制度改定により、従業員が65歳まで継続的 に力を発揮できるようにすることが目的です。
今後もシニア層が活躍できるよう、職場の充実や制度の改善を図ってまいります。

  • 表は左右にスクロールできます
再雇用実績 再雇用率
2023年度 101名 87.1%
2022年度 95名 86.4%
2021年度 127名 77.4%
2020年度 84名 72.4%
2019年度 86名 80.4%
  • 東洋製罐グループホールディングス、東洋製罐、東洋鋼鈑、東罐興業、日本クロージャー、メビウスパッケージング、東洋ガラス

性的マイノリティ(LGBTQ)に関する取り組み

東洋製罐グループでは、「品格を重んじ、あらゆる事に日々公明正大に努めます。」を信条に、「人権の尊重」「多様性の受容」「差別やハラスメントの禁止」を「東洋製罐グループ行動規準」に掲げて、当社グループで働く全ての人たちの人権と個性が尊重される職場づくりを目指しています。
具体的には、当社グループで働く全ての役員、従業員が実践、遵守すべき行動の規範として制定している東洋製罐グループ行動規準に「私たちは、国籍、人種、民族、宗教、思想信条、性別、年齢、障がい、性的指向を理由とした差別を行わないとともに、多様な人材の育成と登用を約束します。」と明記し、従業員に共有しています。さらに、各社の就業規則においても、「性的指向・性自認に関する言動により、他の労働者に精神的な苦痛や不利益を与えたり、就業環境を害する行為」を禁止しており、行動とルールの両面から差別的な取り扱いをしないように取り組んでいます。
また、セクハラ、パワハラ、マタハラといった各種ハラスメントをはじめ、いかなる内容についても匿名で相談ができる相談窓口を、社内、外部それぞれに設置しています。

障がい者雇用の取り組み

東洋製罐グループでは、障がいの有無にかかわらず、あらゆる従業員が気持ち良く働ける職場環境となるよう取り組んでいます。一例として、東洋製罐グループ本社ビルではバリアフリー対応や多機能トイレの各階設置などの設備面の整備や、聴覚障がい者向けの音声文字変換アプリの導入などを行っています。
雇用については、地域の特別支援学校からの実習受け入れや採用を実施する事業所や工場があるほか、地域活性化のために農園型障がい者雇用に取り組む会社もあります。また、トライアル雇用制度の活用やチームビルディングの強化により、継続して就業できる環境づくりへの取り組みも広がっています。グループ会社が法定雇用率を達成できるよう活動を続け、多様な人材が活躍できる環境を整えていきます。


2024年6月1日時点 障がい者雇用率:2.4%
    対象:東洋製罐グループホールディングス/東洋製罐/東洋鋼鈑/東罐興業/日本クロージャー/メビウスパッケージング/東洋ガラス

働き方改革

多様な働き方の実現に向けた取り組み

東洋製罐グループでは、テレワーク制度、フレックスタイム制度をグループ各社が順次導入しています。事業の性質上フレックスタイム制度の導入が難しい職場においても時間単位年次有給休暇制度を順次導入するなど、多様な従業員一人ひとりが能力を十分発揮できるよう、働きやすい環境の整備を進めています。
また、育児、介護、治療と向き合う従業員に対しては休業制度、休暇制度、短時間勤務制度、時差勤務制度等を導入し、仕事と家庭、および仕事と治療の両立支援に取り組んでいます。

長時間労働是正に向けた取り組み

東洋製罐グループでは各国の労働関連法や労使間の協定(労働協約)などに基づき、適切な労働時間および休息時間、時間外労働、休暇などに関する規則を就業規則で定め、従業員一人ひとりが健康でいきいきと生産性高く働くことができる、ウェルビーイングの実現を目指しています。
日本国内における具体的な事例として、勤怠管理システムの整備にあわせて、管理精度の向上、多様な働き方を目指したフレックスタイム制度やテレワーク制度の制定および利用促進、年次有給休暇取得奨励日の設定、ノー残業デーの設定などを実施し長時間労働の是正に向けてさまざまな取り組みを推進しています。

男性の育児休業取得推進

東洋製罐グループでは、男性の育児休業の取得を推進しています。男性も積極的に家事・育児に参画できるよう、育児と仕事の両立をサポートする制度や、具体的な利用事例を紹介するなど、制度を利用しやすい環境づくりに取り組んでいます。
また、男性・女性の育児休業取得者の体験談やインタビューを社内広報誌に掲載するなど、性別を問わず育児をしながら多様な働き方を選択できる環境・風土づくりを進めていきます。

事業会社の取り組み

2023年度の取り組み

「ホワイト物流」推進運動※1

東洋製罐グループホールディングスは2022年2月、国土交通省、経済産業省、農林水産省が提唱する「ホワイト物流」推進運動の趣旨に賛同し、持続可能な物流環境実現に向け、自主行動宣言を提出しました。
東洋製罐グループ企業では、13社※2が内容を検討のうえ宣言しており、グループの製造業、物流業および物流協力会社が協業し、実現に向けて各社で活動を行っています。
2023年4月より営業を開始した東洋メビウスの熊谷物流センターでは、物流の平準化・効率化・共同化に向けた基盤構築を進めています。高密度倉庫棟には住友重機械搬送システム株式会社の自動倉庫「マジックラック」を採用し、ディープストレージ(多重配列保管)方式により保管効率が向上しました。入出庫と荷揃えの自動化により保管エリア内でのフォークリフト作業を削減するなど、自動化や省人化に注力し、従業員の負荷軽減と構内の安全性向上を図っています。
また、納品先近郊倉庫を活用した物流ネットワーク構築により、小ロット×多頻度輸送から大ロット輸送×高積載率配送への転換を図ることで、幹線輸送の効率化、ドライバーの業務軽減につながり、女性や高齢者の活用が可能となる環境構築の実現を目指すことができます。

  • 深刻なドライバー不足への対応として、(1)トラック輸送の生産性向上、物流の効率化、(2)女性や60代以上の運転者なども働きやすい労働環境の実現に向けた運動で、国土交通省、経済産業省、農林水産省が企業に対して参加を呼び掛けている。
  • 対象: 東洋製罐グループホールディングス/東洋製罐/東洋鋼鈑/東罐興業/日本クロージャー/メビウスパッケージング/東洋ガラス/東洋エアゾール工業/TOMATEC /日本トーカンパッケージ/東洋メビウス/東罐ロジテック/下松運輸
高密度自動倉庫マジックラック

セカンドキャリア研修を実施

少子高齢化が進む中、60歳以降も積極的に活躍していただくとともに、シニアライフに備えていただくことを目的として、定年退職を迎える方を対象としたセカンドライフ教育を実施しています。
東洋製罐では、2023年5月と6月に退職金・企業年金制度や再雇用制度の説明を行いました。さらに、外部講師をお招きしてセカンドライフの収支や保険についても説明いただきました。
東洋エアゾール工業では、2023年7月にライフプランセミナーを実施しました。外部講師をお招きして「セカンドライフプラン」について講義していただきました。
TOMATECでは、2023年9月にセカンドキャリアサポートセッションを実施しました。外部講師をお招きして、再雇用制度の要点と期待要件を示すとともに、実習を通じてご自身の現状棚卸やセカンドキャリアをデザインしていただく機会となりました。今後もライフプランニングの手法を学ぶ機会として、定期的にセミナーを開催していきます。

TOMATEC セカンドキャリアサポートセッション

古紙を回収し再生紙を製造する取り組みで障がい者雇用を創出

東洋鋼鈑下松事業所では、障がい者雇用の創出と環境負荷の低減を図るため、2024年4月から東洋鋼鈑グループ内の使用済みOA用紙などの古紙を回収し、再生紙製造装置・ペーパーラボ(エプソン製)で再生紙を製造する活動を始めました。作業は古紙回収・仕分、製造がありますが、障がい者は主に負荷の少ない仕分を行っています。再生紙は古紙を原料にしているので木材資源の節約に、製造時に水をほとんど使用しないため水資源の保全に貢献しています。また社内で古紙再生のサイクルを回すことで製造、輸送時等に発生する温室効果ガス(GHG)の削減にもつながっています。製造した再生紙は社内資料の印刷用、社員の名刺、メモ帳などのノベルティに再利用しています。

男性の育児休業取得を推進

東洋製罐では、2021年より「男性育休100%宣言」に賛同しています。男性が育児に参画することは世の中の女性活躍を支えるだけでなく、意識改革による女性活躍推進にもつながると考えており、男性育休取得を促進するための制度づくりや風土づくりを進めています。
制度面では、育児休業を開始した日から最長5日間については有給扱いとしています。また、育児による短時間勤務や看護休暇に関しては、法定の基準を上回る内容を整備し、柔軟な働き方を推進しています。風土面については、男性・女性の育児休業取得者の体験談やインタビューを社内外に発信するなど、性別に関係なく育児をしながら多様な働き方を選択できる環境づくりを進めています。なお、2023年度の男性育児休業取得率は102%でした。今後も男性の育児休業取得率向上に向けて様々な取り組みを進めてまいります。

また、東罐興業では2022年以前から男性社員の育休取得を働きかけ、取得率も2022年度40.0%、2023年度57.7%と年々向上しています。育休取得推進にあたって、社内報で育休制度について紹介し、実際に育休を取得した男性社員の経験談を座談会形式で掲載するなどして、従業員への制度の周知を図っています。

  • 株式会社ワーク・ライフバランスが、「現在、自社内で男性の育児休業取得率100%の実現を目指して取り組んでいる」組織および「今後、取得率をあげて、いずれは100%を目指したい」と考えている組織の代表に賛同を呼び掛けている取り組み

多様化する部下に対応するためのマネジメント研修を実施

東罐興業では、多様化する部下に対するコミュニケーションスキルを身につけ、職場のエンゲージメントを高めることをねらいとして、2024年3月14日に「多様化する部下に対応するためのマネジメント研修」を実施しました。日本能率協会マネジメントセンターより講師を招いて「心理的安全性とは」「話しやすさと積極的傾聴スキル」などについて3時間にわたって話していただきました。オンラインと会場参加、録画動画視聴を併用して、全国の部長職・課長職の従業員が参加し、職場コミュニケーションについての認識を新たにする機会となりました。

残業時間の削減に向けた取り組み

ブラジルのStolle Machinery do Brasil Industria e Comercio Equipamentos Ltda.では、従業員の仕事と私生活の両立を促進するために、業務プロセスの見直しに取り組むことで、時間の削減に努めています。その結果として、2023年においては昨年比で62%の残業時間の削減を実現しました。