人権の尊重
東洋製罐グループ人権方針について
東洋製罐グループは、2016年に「グループ経営思想」を制定し、その中で「持続可能な社会の実現を希求して、人類の幸福に貢献していく」ことを掲げています。私たちは、この理念を具現化するためには、自ら行うすべての事業活動で人権を尊重することが前提になると認識しています。
東洋製罐グループは、人権尊重の取り組みを推進し、その責任を果たすための指針として、東洋製罐グループは国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた「東洋製罐グループ人権方針」を2019年6月に策定しました。
人権方針の策定にあたっては、世界的なリスク調査・分析機関Verisk Maplecroft社の人権リスクデータベースに基づき、「人権課題に関する定量調査」を行いました。事業と関連の深い10の人権課題について、事業領域別・国別に顕著な影響評価の定量調査を実施した結果、東洋製罐グループが展開している事業領域の業界リスクは全体的に中から低レベルであることが確認されました。さらにグループ内の関係者に対するヒアリングを中心に、サプライチェーン上の潜在的な人権課題およびそれにかかわりの深いステークホルダーに関する調査も行ったうえで、人権方針を策定しています。
なお、私たちは、事業活動が人権に負の影響を及ぼす可能性を完全には排除できないことを認識し、真摯に向き合いその改善を進めます。
また、今後も東洋製罐グループ各社で人権への影響度分析・評価を行い、具体的な取り組みに落とし込んでいくこととしています。
東洋製罐グループ人権方針
1. 適用の範囲
本方針は、東洋製罐グループのすべての役員と従業員に適用します。また、東洋製罐グループの製品・システム・サービスに関係するすべてのビジネスパートナーに対しても、本方針の遵守を求めます。
2. 基本的な考え方
私たちは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく人権尊重の取り組みを推進するとともに、次に示すような人権にかかわる国際的規範を支持し尊重していきます。
- 国連「国際人権章典」(世界人権宣言と国際人権規約)
- 国際労働機関(ILO)「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」
- 国連総会決議「先住民の権利に関する国際連合宣言」
3. 人権尊重の責任
私たちは、自らの事業活動において影響を受ける人々の人権を侵害しないこと、また、自らの事業活動において人権への負の影響が生じた場合は是正に向けて適切な対応をとることにより、人権尊重の責任を果たし、責任あるサプライチェーンを築いていきます。
4. 人権デュー・ディリジェンス
私たちは、人権に対する負の影響を特定し、その防止及び軽減を図るため、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築します。
5. 対話・協議
私たちは、本方針を実行する過程において、独立した外部機関による人権に関する専門知識を活用し、ステークホルダーとの対話と協議を真摯に行います。
6. 教育・研修
私たちは、本方針がすべての事業活動に組み込まれ、効果的に実行されるよう、適切な教育・研修を行います。
7. 救済
私たちの事業活動が、人権に対する負の影響を引き起こした、あるいは取引関係等を通じた関与が明らかとなった場合には、国際基準に基づく、対話と適切な手続きを通じて、その救済に取り組みます。
8. 責任者
私たちは、本方針の実行に責任を持つ担当役員を明確にし、実施状況を監督します。
9. 情報開示
私たちは、人権尊重の取り組みの進捗状況及びその結果を、ウェブサイトなどで開示します。
10. 適用法令
私たちは、事業活動を行うそれぞれの国または地域における法と規制を遵守します。国際的に認められた人権と各国の法令の間に矛盾がある場合には、国際的な人権原則を最大限に尊重するための方法を追求します。
東洋製罐グループにおける代表的な人権リスク
東洋製罐グループは、グループ行動規準において「私たちは、あらゆる場面において、人権に関する各国の法令や国際規範を理解、尊重し、人権を侵害しません。」「私たちは、東洋製罐グループ人権方針を理解し、自ら行うすべての事業活動において、人権に負の影響を及ぼしていないか、常に注意を払うことを約束します。」と明記しています。
すべての事業活動において、負の影響を及ぼしていないか常に注意を払う対象として、東洋製罐グループが認識している代表的な人権リスクは以下の通りです。
- 強制労働
- 児童労働
- 結社の自由・団体交渉権
- 雇用および職業におけるあらゆる差別
- 安全で健康的な労働環境
- 賃金(未払い賃金の防止、法定最低賃金以上の適正賃金、同一労働同一賃金の推進)
- 適正労働時間
- サプライチェーン上の人権
- 外国人労働者の権利
- 先住民・地域住民の人権
推進体制
東洋製罐グループはサステナビリティ経営をグループ横断的に行うことを目的として、「グループサステナビリティ委員会」を設置しています。
2023年度よりESG(環境・社会・ガバナンス)ごとに推進分科会を設置し、人権およびDE&I 推進などの社会課題にかかわる活動は、人権・DE&I分科会を軸として、当社の各部門とグループ事業会社が横断的に連携することを通して、サステナビリティ関連活動を推進していく体制を整えています。 2023年度、2024年度の人権・DE&I分科会は2回開催されました。
※図は左右にスクロールできます

人権デューデリジェンスの取り組み
グループ内の人権デューデリジェンス
サプライヤープラットフォームを活用したリスク評価
自社グループ内のリスク評価ツールとしてSedexを活用したセルフチェックを実施しており、2024年度はグループ27社68事業所で行いました。リスク評価の結果、児童労働や強制労働といった重大な人権侵害の事例は確認されませんでした。2025年度はセルフチェックの対象を非製造業の事業会社にも拡大し、グループ内のリスク評価を推進していきます。
外国人労働者の実態調査
グループでは、増加する外国人労働者の雇用にともない、彼らの人権を尊重し、働きやすい環境を提供することを重要な課題と捉えています。
外国人労働者が就業している事業所を訪問し、指定第三者調査員(ASSC※)とともに書類審査、工場現場の査察、労働者インタビューを実施しました。この調査では、労働契約や賃金、労働時間、住居環境などを詳しくチェックし、問題点の把握と是正に努めました。
- ASSC(一般社団法人ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・サプライチェーン)は、企業が期待される社会課題解決について持続可能性(サステナビリティ)の観点からサポートを実施しているNGO
実態調査実施日
※表は左右にスクロールできます
| 年度 | 実施日 | 調査先 |
|---|---|---|
| 2022年度 | 2023年3月1日 | メビウスパッケージング茨城工場 |
| 2023年度 | 2023年4月28日 | 東洋エアゾール工業三重工場 |
| 2024年2月20日 | 東罐興業小牧工場 | |
| 2024年2月21日 | ジャパンボトルドウォーター | |
| 2024年度 | 2025年3月12日 | 日本クロージャー石岡工場 |
実態調査の概要とプロセス
| 書類審査 | 就業規則、雇用契約書、給与明細、勤怠管理表などの確認。国際労働機関(ILO)条約や指針と照らし合わせて、長時間労働や強制労働、ハラスメントなどの実態調査 |
|---|---|
| 工場現場確認 | 労働安全衛生、避難経路、各種掲示等の確認 |
| 寮の視察 | 拠点(寮の有無)により実施 |
| 労働者インタビュー | 通訳を交えて、労働者の職歴、日本で働く理由、日本語検定の等級、現在の収入、シフト、休日、有給取得、住まい、交通手段等についてヒアリング |
主な調査項目とチェック内容
調査では、具体的に以下の項目に対して、フィードバックを受けました。なお、インタビューを実施した従業員においては、労働環境に満足をしている者が多いと判断されました。
| 労働契約 | 労働条件の差異発生の有無 |
|---|---|
| 賃金関連 | 労働時間の1分単位計算の有無 |
| 労働時間 | タイムカード設置場所の妥当性 |
| 時間外労働 | 恒常的な超過勤務の有無 |
| 就業規則 | 減給の制裁等の懲罰規定の有無 |
| 権利行使 | 苦情処理窓口の設置の有無 |
| 住居環境 |
|
| 状況把握 | 労働環境・生活環境の状況把握の有無 |
| ハラスメント | 恐怖心をあおる言動の有無 |
| 債務労働 | 借入金の有無 |
| 差別 | 渡航前の妊娠検査等による差別の有無 |
サプライチェーン上のデューデリジェンス
企業の持続的な成長のためには、バリューチェーン全体における環境・社会リスクを管理することが重要です。東洋製罐グループでは、サステナビリティ情報共有プラットフォームのSedex、EcoVadis※を活用して、サステナビリティ情報を開示しています。
- サプライヤー企業の環境・社会のサステナビリティ・パフォーマンスの改善を目的に設立されたフランスの企業。環境、労働慣行と人権、倫理、持続可能な資材調達の4分野について評価を行う。
サプライヤーCSRガイドライン自己診断
「東洋製罐グループ調達基本方針」の各項目をグループ共通取引基本契約書に盛り込んでいるほか、サプライチェーンにおけるCSRの重要性・弊社グループのCSRの考え方・お取引先各位に守って頂きたい基本的な事項(コンプライアンス、品質・安全、人権、労働安全衛生、環境、情報管理)を「サプライヤーCSRガイドライン」として定めています。グループ内における各事業会社のお取引先に対して、ガイドラインの内容へのご同意を確認するとともに、遵守していただくためのコミュニケーションツールとして自己診断(SAQ)へのご協力をお願いしています。
2024年度は、グループホールディングスのお取引先にSAQを送付し、178社から回答を得ました。全社にフィードバックシートを送付したほか、重点分野である人権・労働分野に関して、一部のサプライヤーと現状の確認および今後の改善に向けた話し合いを行いました。
グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンのサプライチェーン分科会への参画
東洋製罐グループは、国連グローバル・コンパクト(UNGC)を支持し、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)へ加入、GCNJの各種分科会に参画しています。その中のサプライチェーン分科会では、他の参加企業と連携しながら、サプライチェーンにおける持続可能な調達の向上に向けた取り組みを進めています。
人権に関する教育と浸透
人権問題への理解を深めるeラーニング実施
東洋製罐グループでは、国内外グループに属する全従業員を対象に、あらゆる差別やハラスメントを禁止した「東洋製罐グループ行動規準」の浸透活動を通じて人権課題への理解を促進しています。
人権の啓発活動として、これまでビジネスと人権のeラーニング教材「人を大切に eラーニング エッセンシャル版」(制作:一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター〔ヒューライツ大阪〕、公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本)を、2019年度から2021年度の3年間で延べ5,806名が受講し、事業活動と人権とのつながり、および国際規範である「世界人権宣言」や「ビジネスと人権に関する指導原則」などについて学んできました。
2022年度は、東洋製罐グループの人権方針や自社における外国人労働者の課題などの理解浸透を図るため、eラーニングの教材を自社作成し、学習を行いました。
2023年度は、ビジネスと人権eラーニング教材:「人を大切に」eラーニング版(制作:一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター〔ヒューライツ大阪〕)を役員と従業員4,599名に実施しました(修了率99%)。2024年度は国連「ビジネスと人権に関する指導原則」などに基づく教材を使ったeラーニングを、国内では対象となるグループ会社41社全社で実施しました。また、同様の内容のeラーニングを、タイとマレーシアを中心に海外グループ会社14社でも実施しました。
今後も人権の尊重が企業文化として定着するように、人権啓発活動に取り組んでいきます。
救済へのアクセス
東洋製罐グループは、非司法的な苦情処理プラットフォームである「対話救済プラットフォーム」を提供する一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に加盟しており、この対話救済プラットフォームを通して、バリューチェーンを含むあらゆるステークホルダーを対象とした人権に関わる苦情・通報を受け付けています。Webフォームで24時間365日入力可能となっており、日本語と英語、また匿名での通報も可能です。
受け付けた通報については、通報者に不利益が及ばないようにするとともに、通報者のプライバシー保護及び機密保持に努めます。また、JaCERのグリーバンスリストを通じて、その対応結果及び進捗に関して匿名での情報開示を行います。
労使における人権
東洋製罐グループでは、企業活動全般についての労働組合との情報共有や労使一体での課題解決に向けた話し合いを積極的に行っています。一部のグループ会社には労働組合が組織されています(労働組合加入率は連結グループ全体の48.0%(2025年3月31日現在)。
具体的には「働き方改革」「安全衛生」「福利厚生」などをテーマに積極的な労使協議を行い、経営と労働組合、従業員とのコミュニケーションを通じて健全な労使関係構築・維持に努めています。