EcoEnd™

尾崎：アルミ缶はリサイクルが定着している一方で、缶胴に比べて蓋のリサイクル材使用率が低いことが課題としてありました。東洋製罐グループのEco Action Plan 2030では「脱炭素社会の実現」を掲げており、GHG削減効果の最大化に向けて、これまでにない環境配慮型次世代蓋の開発を目指すことになりました。
アルミメーカーである株式会社ＵＡＣＪ（以下「ＵＡＣＪ」）と協業し、共同で材料と蓋の開発を進めました。

尾崎：リサイクル材の使用割合を増やすことで、リサイクル材由来の化学成分が濃くなり、金属間化合物が増加します。この金属間化合物が多く存在することで、蓋の成形時にコーティングが破れやすくなったり、蓋の開けやすさが変わったりと、容器性能にさまざまな影響が出ます。
ＵＡＣＪの材料開発技術により、金属間化合物の量を低減することができましたが、完全に取り除くことはできません。そこで当社は成形技術でこれらの課題を解決するとともに、厚みを変えないことにこだわり、従来と同等の耐圧強度を持つ蓋を開発しました。

清水：アルミ材の材料特性が変わったことで、成形方法の見直しに非常に苦労しました。例えば、飲み口部分など、従来の金型で成形すると容器強度を満たせなかったため、金型形状を変えて材料へのダメージを軽減するなどの工夫が必要でした。最適な形状が見つかるまで、何度も成形金型を改良しながら試験を繰り返しました。
蓋には多くの性能が求められるため、さまざまな要素を考慮して設計しなければならないことを改めて実感しました。

清水：生産量が多いことから、ビール用の蓋から開発を始めましたが、酸性飲料向けなど蓋型の拡大を検討しています。本製品よりも高い耐圧強度が求められるので、課題は多いと考えています。
また、リサイクル原料を増やしたアルミ材によるタブの開発も検討しています。タブは裏を見るとわかりますが、巻き込んで作っているので、このアルミ材での成形は難しい課題があります。
EcoEndの課題である、容器強度と開けやすさのバランスをクリアして、さらなる環境配慮型製品の開発に努めていきます。